【ニューヨーク不動産最前線】不動産投資するメリット:減価償却

2023年4月時点で、ニューヨーク市で住宅を賃貸して住んでいる人は67.2%だそうです。つまり、ニューヨーカーの約3分の2が住宅を賃貸しています。全米平均は逆で3分の2がホーム・オーナーで賃貸は3分の1です。それだけ、NYCでは賃貸住宅の需要があるということで、自己使用ではなく投資用に物件を購入する人が多いのもうなずけます。

アメリカで不動産投資をするメリットは主に3つあるといわれています。それは、賃貸収入、キャピタルゲイン、および減価償却による節税です。

ニューヨークの場合(特にマンハッタン)は、物件の値段が高い上に毎月の維持費(固定資産税と建物共益費)も高額で、賃貸収入による利回りはほぼ期待できません。キャピタルゲインは、売却するタイミングとその時のマーケットの状況に依存します。なので、今回は確実にメリットが享受できかつ金額の予想もできる減価償却に焦点を当てたいと思います。

住宅用不動産(アパート)を購入して賃貸に出した場合の減価償却のイメージは次のようになります。

1)原価ベースの算出

購入金額だけでなく、購入にかかった経費や購入後の改装や修繕費も原価に上乗せします。ただし、土地部分の価値は含まれません。

たとえば、購入金額80万ドル、クロージングコスト5000ドル、改装費15万ドルで、土地の部分の価値16万ドルだとすると、原価ベースは79万5000ドルとなります。

800,000 – 160,000 + 5,000 + 150,000 = $795,000

2)居住用不動産の減価償却年数は27.5年

日本のように構造や築年数による区別はなく一律27.5年となります。物件を購入したらその時点で築何年経っていようと、27.5年が適用されます。

この例の場合は、795,000 ÷ 27.5 = $28,909 なので、年間2万9000ドル程度が税控除の対象となります。なお、この減価償却はクロージング(物件引渡し)の日ではなく、物件が貸せる状態になった日から始まります。たとえば、4月1日にクロージングをしても、改修工事に3カ月かかったといったような場合は、物件をマーケットに出すのは7月1日となり、減価償却はその日から始まります。

最後に、これはあくまでも居住用不動産に物件投資をする場合の考え方のガイドラインとしてお伝えしています。詳細については必ず、必ず、絶対に税金の専門家にお問い合わせくださいね。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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