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仕掛け人に聞く
日本の食ニューウェーブ
- 2016年11月1日
- 2016年11月号掲載
チョコクッキー
米系マーケットのレジ横の棚がゴール
サクサクッとした食感に甘すぎないチョコレートのコーティングとの相性もいいチョコクッキー、ブラックサンダー。2014年単年で日本国内では実に13億個を売り上げた。2006年の販売個数2000万、2007年が3000万だったと聞けば、いかに右肩上がりで人気を伸ばしてきたかがわかる。人気に火がついたきっかけは、2008年北京オリンピックで銀メダルを獲得した体操の内村選手が大好物として挙げたことだ。
一方のアメリカでは日本食が空前のブームを巻き起こしており、日本製の菓子もまた熱い注目を集めている。安全、美味しい、バラエティ豊かと三拍子揃った利点が消費者を惹きつけている。
そこで、日本で大人気のブラックサンダーも2015年にアメリカ市場に参入した。その正規代理店を務めるエイワUSAで代表を務める当銘由洋さんに経緯を聞いた。
「アメリカ市場での販売に先駆け、2014年から準備を始めました。まず気になったのはブラックサンダーという名称です。アフリカ系の人々から見ると人種差別的に受け取られるのではないかと、グループインタビューで印象を探りました。するとほとんどの人が、ブラックというのはチョコレートのブラックである、という理由を説明すると別に気にしないとのコメントでした。それでホッとして、日本と同じブラックサンダーという名前で販売することにしました」
次に検討事項に上がったのはパッケージ。日本のブラックサンダーは当然の事ながら日本語で表記されている。しかし、当銘さんは「この菓子の最終的な目標は、米系マーケットのレジ横の棚に陳列してもらうことです。会計前に目が行く、あの棚は数社のメジャーなメーカーの商品で占められていて、莫大な売上を誇ります。あそこにアメリカのガムやチョコと肩を並べる形でブラックサンダーを置いてほしい、そのためにはエスニック色をなくす必要があると考えました」
そこで現在のパッケージは「ユーラク」という製造元の表記以外は全て英語になっている。しかし、そうなると今度は「安全、美味しい、バラエティ豊か」という日本製の菓子であるということが伝わりにくいことになる。パッケージについては、日本のものだと一目でわかるように、今後さらに改良を加えていく予定だということだ。
さて、そのブラックサンダーの美味しさについては、当銘さん自身「アメリカ人に受けるはず」だと絶対の自信を持っている。「アメリカ人に説明するときはオレオと比較すると伝わりやすいようです。私ははっきりと『オレオを進化させた菓子』と言ってから試食してもらいます」
アメリカ市場に上陸して1年、実はスタートは本土ではなかった。「2015年3月にハワイの展示会に出展しました。その時に試食した人が『すごくいい品だから、うちで扱いたい』とその場でオファーしてくれました。その方はウォルマートのバイヤーでした」
現在、ハワイのウォルマートでは、レジ近くの棚にアメリカ製の商品と一緒にブラックサンダーが置かれている。最終目標だった「レジ横の棚」がハワイではすでに実現しているのだ。ウォルマート以外でもハワイのABCストア、ウォルグリーン、ロングスドラッグ、セブンイレブンでブラックサンダーが販売されている。
さて、次はアメリカ本土である。ハワイ同様に、アジアセクション限定の商品ではなく、メインストリームでポジションを獲得したいと今、その戦略の実現に向けて動き出したところだ。
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