グリーンカード保持者が受けられる生活保護

文/ミチコ・ノーウィッキ(Text by Michiko Grace Nowicki)

米国政府は、米国市民と同様に永住権(グリーンカード)保持者にも特定の利益を付与しています。 ただし、それらの公的扶助制度は移民が困難に直面した際の一時的支援に過ぎません。

米国市民は地方、州、連邦の援助を受ける資格があり、グリーンカード保持者も特定の利益を受けることができます。 ただし、移民のステータスを失ったり、米国にいられなくなったりする恐れがあるという理由により、多くの移民は公的扶助を受けることを望んでいないようです。しかし、公的扶助を受けることが移民ステータスを失うことにはつながりません。

米国にとっての経済的負担であると判断された移民は、米国への入国が許可されなかったり、場合によっては国外追放されたりする可能性もあります。しかし、これは長期的な金銭的援助を必要とする移民のみです。 米国移民国籍法によると、生活していくうえで長期的に米国政府から生活保護を受け、政府の公的扶助制度に依存する可能性が高い個人については入国拒否の根拠となります。単に公的扶助を受けたからといって、自動的に国の負担であるとみなされるわけではありません。

米国移民帰化局は、外国人が米国政府の経済的負担になるのを防ぐために、永住権申請等においてスポンサーとなる米国市民または米国雇用主が、扶養宣誓供述書(Affidavit of Support)に署名することを要求しています。 この宣誓供述書は、米国に移住する個人が国の負担になるような事態にならないことを証明するものなのです。

公的扶助は州によっても異なりますが、特定の米国市民以外の者は、予防接種、災害救済、児童栄養、医療、また伝染病治療などの援助を受けられる可能性があります。ただし、米国政府の経済的負担とならないためには、移民は長期にわたり、国や州から現金の援助を受けることは避けなけれればなりません。

永住権保持者や永住権申請者に与えられる生活保護には、ヘルスケアや食糧プログラムがあります。ヘルスケアにはメディケイド、妊婦のケア、児童健康保険プログラム、および短期のケアを含む保健センターにおける低コスト医療援助が含まれます。災害救済、公営住宅、雇用訓練、育児は非現金制度の一部です。学校の給食や、女性とこども向けの特別栄養プログラムは、食糧プログラムの一部です。

現金給付プログラム(州からの一般援助や補助金、低所得家庭への一時的援助等)、および精神保健施設への長期居住も永住権保持者が受けることができる利益です。ただし、これらは永住権申請中の方は受けることができません。

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ミチコ・ノーウィッキ (Michiko Nowicki)

ミチコ・ノーウィッキ (Michiko Nowicki)

ライタープロフィール

ウィリアム・S・リチャードソン・スクール・オブ・ロウ卒業。米国移民弁護士協会所属、米国弁護士協会所属、ハワイ州弁護士協会所属。日本居住歴19年。バイリンガル。

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