シリーズアメリカ再発見㊱
Old is New… フロリダ デイトナビーチ

文&写真/佐藤美玲 (Text and photos by Mirei Sato)

New Smyrna Beach / ニュー・スマーナ・ビーチ

 ダウンタウンからアトランティック・アベニューに沿って進むと、港へ突き当たる。ここに、フロリダで一番高い灯台、国の史跡にも指定されている「ポンセ・デ・リヨン・インレット・ライトハウス」がある。
 デ・リヨンは、スペイン人の探検家でフロリダを「発見」した人物。アメリカ大陸のスペイン植民地化に大きく貢献したから、このあたりには彼の名前がついた場所がたくさんある。
 灯台の足元から、ウォーター・タクシーに乗って、ニュー・スマーナ・ビーチへ向かった。
 フロリダは「水の都」だ。マイアミならコーズウエー、キーウエストなら海上ハイウエーというように、人々の生活と水は切っても切れない。ここデイトナビーチも、川や海が入り組んで街ができているから、ちょっと買い物、通勤通学するにも、水の上を行き来する機会が多い。
 一体どこから入るのだろう、まさか泳いできたのかしら、と思うようなところに砂浜がある。犬と一緒に釣りをする人や、パラソルの下で読書をする人たちが見えた。
 海に浮かぶ高級住宅街。ウォーター・タクシーの運転手は、「災害保険の掛け金も相当ですよ」と言っていた。ハリケーンで高波がくれば、一発で浸水するだろう。それでも「海抜」としてはニューオーリンズに比べればはるかに高いところにあるというのだから、ニューオーリンズがいかに低いかがよくわかる。
 フロリダは、三方を海に囲まれた州だ。州の西側は、メキシコ湾。砂糖のようにピュアで真っ白な砂浜で、サーフィンのメッカだ。南へくだると、カリブ海。水温があがり、浅くて波のない白砂の海岸になる。ブルーグリーンの穏やかな海。まるでバスタブにつかるような感覚で泳げる。きれいな貝殻がとれることでも有名だ。
 東へ回ると、大西洋。砂はかたくなり、その色はゴールドにも近い。
 ニュー・スマーナ・ビーチで、大西洋に来たなと実感した。ビーチを車が走っている。砂浜の上に、2車線の走行レーンができているのだ。「制限速度10マイル」の看板もある。四駆ではなく、普通の自動車だ。自転車さえも、軽々と走っている。それぐらい、地面(砂)がかたい。
 ビーチでカーレースが行なわれていたぐらいだから当然なのだが、実際に自分の足の裏で、かたさを実感した。アメリカの中でも、車で走れるビーチは珍しいそうだ。
 波が引いても、ビーチにはうっすらと水が張ったままである。これも砂がかたいからなのだろうか。波打ち際に、椅子やテーブルを並べてピクニックをしている家族もいるが、少しも沈下しない。
 薄く張った水がまるで鏡のようで、波が引くたび、人や椅子の影を映し出す。ボリビアのウユニ塩湖も真っ青の光景だ。
 砂と空がつながって、なんともいえない虹の色が生まれる。サンディーグリーン、ホワイトブルーの世界。心が透き通る瞬間だった。


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