演出のお手本?!「No Escape」
文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)
- 2015年9月20日
妻と幼い娘2人を連れて、東南アジアに赴任することになったジャック。しかし、到着早々、当地でクーデターが勃発し、外国人を処刑するのを目撃する。家族を守るため、必死に逃げ惑うジャックたちは……。
監督・脚本のジョン・エリック・ドゥードルの数年前のタイ旅行の経験が元になっているという本作。彼の旅はまったく安全だったそうだが、「もしも……」と考えて作ったそうだ。

Photo by Roland Neveu © 2015 The Weinstein Company
ホラー映画で手腕を発揮してきた彼だけに、命がけのドキドキの緊張どころとホッと安心する瞬間のバランスが実に見事。緊張の糸を終始張り続けていては、観客は飽きるし、次の恐怖がショッキングに感じなくなる。その点、本作は演出のお手本と言えるほど、絶妙なタイミングで緊張の糸を緩めては張り、緩めるという繰り返しを巧みにしてみせた。
加えて、オーウェン・ウィルソンとレイク・ベルの起用も頭がいい。コメディーものでお馴染みな2人だけに、ショッキングな場面になればなるほど現実感が湧く。おまけにウィルソンのソフトな声としゃべり方が緊張をほぐす効果も生んでいる。
ストーリーのネタ自体はぬるいが、演出の良さが光る作品だ。
Special thanks to Caitlin Klein & Allie Wilensky /ID-PR, Margaret Gordon / PMK•BNC, Katie Doyle / The Weinstein Company
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