サンドラ・ブロックが、男性用に書かれた役を女性役に書き換えさせて演じたとして話題の「Our Brand is Crisis」は、選挙に立候補する政治家を当選に導く専門家の活躍をユーモアも交えて描く政治ドラマ。
ボリビアの大統領選挙の立候補者に雇われたブロック扮するアメリカ人の選挙ブレインたちが、選挙戦を巧妙に勝ち抜いていく様は、まるでゲームをしているかのようだ。国の未来を決める大事な選挙を、報酬次第で雇い主を決める貪欲なアメリカ人に左右される現実を見せつけられ複雑な思いがした。政治家とのパイプが太く、人権活動に積極的なジョージ・クルーニーがプロデューサーを務めるのも納得な内容だ。
ブロックとクルーニーは駆け出しの頃からの友人同士。本作の企画を耳にしたブロックが、主役を女性に書き換えて出演できないかと旧友に打診して快諾されたのも、ブロックのスターとしてのステイタスだけでなく、そうした友情関係があったからこそと言えよう。ハリウッドのラブコメの女王として君臨してきた彼女は、出演作選びに行き詰まりを感じていたと記者会見で打ち明けた。「女性が主役のコメディーは、なんで全部ラブコメなの? って思い始めたの。そこで、ジム・キャリーがパスした脚本で主役を女性に書き換えられるものはないかしら? って考えた。そうして『The Heat』が見つかったの」と話す。本作の主役の性別チェンジは、ブロック自身の数年に渡る画策の努力もあってのことだったのだ。もし本作の主人公が男性(クルーニー?)だったら? ボリビア人の選挙チームとのケミストリーが失われる代わりに、メッセージ性の強い作品になったのではないだろうか。女性と男性の持つそれぞれの印象を考えさせられた。
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