[敬老・売却問題] カリフォルニア選出連邦下院議員16人がハリス州司法長官に陳情書を提出

文&写真/佐藤美玲(Text and photo by Mirei Sato)

 ロサンゼルスの非営利団体「敬老シニアヘルスケア」(通称「Keiro」)の施設売却をめぐって、地元日系コミュニティーから反対運動が起きている問題にからんで、カリフォルニア州選出の連邦下院議員16人が、カマラ・ハリス州司法長官にあてて、「敬老の売却を延期し、コミュニティーの意見を聞く場としての公聴会を開くことを要求する」陳情の手紙を提出した。

カマラ・ハリス州司法長官あての陳情書面に署名した連邦下院議員16人のサイン Photo © Mirei Sato

カマラ・ハリス州司法長官あての陳情書面に署名した連邦下院議員16人のサイン
Photo © Mirei Sato

 手紙は11月4日付で、アジア太平洋系アメリカ人議員連盟(Congressional Asian Pacific American Caucus)のリーダーでもあるジュディー・チュー下院議員のリーダーシップのもと、賛同した16議員が署名した。
 売却阻止を目標にして反対運動を展開している「敬老を守る会」(=Save Keiro)のジョン・カジ代表は、「敬老を守る会のメンバーの一人として、16人の連邦下院議員が私たちの運動に賛同してくれたことを、非常に嬉しく思っている。私たちは、ハリス司法長官が、公聴会を希望するコミュニティーの意思を認めて、敬老の施設の入居者やその家族、コミュニティーの意見を聞くまでは、敬老の売却を延期することを期待している」とコメントした。
 また、会が募っている、ハリス司法長官あてに売却差し止めを求める請願書への署名は、11月5日昼までに、7425人分が集まった。

⚫︎司法長官あての陳情の手紙に署名した国会議員

Judy Chu, Xabier Becerra, Maxine Waters, Pete Aguilar, Karen Bass, Janice Hahn, Michael M. Honda, Ted Liew, Alan Lowenthal, Doris Matsui, Grace Napolitane, Lucille roybal-Allard, Mark Takano, Brad Sherman, Norma Torres, Tony Cardenas

⚫︎司法長官あての陳情の手紙の文面(*日本語訳は「敬老を守る会」によるもの。原文そのまま)

司法長官ハリス殿

 敬老の600人以上の老齢の住民の方々に代わり、御事務所が敬老施設の資産、パシフィカへの売却を延期し、それ以前に公聴会を行なうことを要請して下さるようにお願い致します。
 敬老はロサンゼルス大都市圏で50年以上にあたり、日系社会において幅広いケアと長期介護施設を提供して来ました。
 この売却はそこの住人にもそれに利害関係を持つ人達にも全く不透明なまま行なわれました。敬老は事前公聴会を行なうこともなく、売却の詳細な条件等についても、意見を受け付ける期間後まで発表が行なわれませんでした。このことは、住民、寄贈者、その家族などへのこの問題の影響など考える余地を与えませんでした。
 この売却に関連する個々の条件や詳細は、日系社会のための長期の介護施設の選択肢を逸する危険を伴っています。特に売却条件は、現在の住民たちが1年後に向かい合う家賃の値上げから守られていません。さらに、住民たちには5年後にこの施設に住み続けることができるという保証もありません。
 現在の住民達が途方も無い家賃の支払いを強いられるという可能性もあります。医療費の大きな値上げや、強制退去、介護の選択権も失っていくご老人たちのことについての配慮が全くありません。そのような諸々の問題から守られるという保証もありません。敬老の現在の住民達はこの施設を人生最後の棲家としています。ゆえにここから退去させられるような事態を作るなど、あってはならないのではないでしょうか。
 司法長官は、NPO法人の売却に関し、その売却がその共同体にとり最高の利権が守られているという確認する立場上の仕事があります。私たちは敬老施設売却の承認を行なわれる以前に、まずは公聴会を行ない、その結果を配慮しての結論が得られるまで、敬老施設のパシフィカ売却を延期していただくよう切にお願いする次第です。この過程を経ることで将来の福祉問題を保護するばかりでなく、敬老施設の住民の方々の安全やその他の人々の利権も守ることにもつながります。
 敬老介護施設の住民の方々は主に日系アメリカ人です。その多くが第二次大戦の時に、僻地の収容所に送られ、その時に全ての資産も失いました。スパイ容疑がかけられたのです。ところが戦後70年を振り返り、たったの一件もそのようなことが浮かび上がったでしょうか。このような正義の名を借りた茶番劇が演じられた過去を振り返っても、悲しい体験を背負われたご老人達には特別な配慮が必要です。そして貴殿にはそれを可能にできる権限があるのです。私どもは、このような日系アメリカ人のご老人達が最後の年月を安心して快適に過ごせるような生活が確保できるよう、ご配慮下さることを切に願っております。敬具

⚫︎売却反対の署名ウェブサイト

savekeiro.org(英語)
jp.savekeiro.org(日本語)
Change.org(*新たにこのサイトでも署名できるようにした。守る会のウェブサイトからリンクされている)

*賛同して署名するのは、ロサンゼルス在住者でなくても構わない。名前など必要な事項さえ記入すれば、ほかの州や日本に在住でも構わない
*守る会の署名活動は、敬老の売却中止が決まるまで続く

⚫︎敬老がウェブサイトで公開している、売却に関する経緯など

www.keiro.org/updates

敬老・売却問題に関するフロントラインの過去の記事はこちら:
⚫︎2015年11月1日「敬老を売るな! 5000人以上の署名集まる」
⚫︎2015年10月26日「反対署名集め、ロサンゼルス日系コミュニティーが運動開始」

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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