「大事なのは良いアイデアと、商品やサービスをきちんと理解していること。そして、良い人材を雇い、彼らに自分たちの仕事をさせることだね。マイクロマネジメントをしてはいけないんだ。わしらは負債を抱え込みすぎた。そのため、銀行が経営をコントロールするようになり、不慣れな経営担当者を上席経営者として迎えるよう強要された。日本のタワレコを売るのにわしは大反対だったけど戦いに負けたんだ。ものすごく辛かったよ」と当時を振り返る。
日本のタワレコがいまだに順調な理由については、こう分析する。
「日本は、アメリカや他の国のように、ダウンロードやストリーミングが、パッケージに取って代わっていないからだよ。日本のファンの多くは、ディスクを実際に手にして再生するという考えが好きなんだ」
日本人は、目に見えないものよりも、目に見えて存在するものに価値があると考えがちなので、それが功を奏しているようだ。
これまでで一番興奮した瞬間は渋谷店のオープンと話すソロモンは、本作で再び来日し、かつての従業員との再会も果たした。その経験を「とても楽しく、ノスタルジックだった」と表現する。
「元従業員達との再会は感動的だったよ。そしてもちろん、食べ物が美味しかったことは忘れてはならない点だよね!」
様変わりしたと思われた日本や渋谷については、「変わったと思っていたけど、実際には変わっていなかったことに気づいた」そうだ。それは、音楽や人にも当てはまるという。ソロモンがタワレコを経営していた頃と比べ、音楽を記録・再生するメディアは変わった。しかし、彼は「音楽も人も変わってはいない」と考える。
90歳になってもまだまだ達者で元気なソロモンは、映画のナレーションも担当し、マルチな才能を発揮している。そして、「引退」という言葉とは無縁のようだ。
「もう少し若かったら、ニューヨークに大きなレコード店をオープンしたかもしれないよ。今、わしはポートレイト写真の撮影にハマっている。つい最近、150人を超えるポートレイトを撮影して、サクラメントのコミュニティー・カレッジで展覧会を二度開いたんだ。それに読書をたくさんするし、美味しいものも沢山食べる。それから……、今もだけど、カクテルも何杯かいただくよ(笑)」
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