日本人のPERFECTION(完全主義)はどこから来たの? -(前篇)

文/在米日本人フォーラム(Text by Japanese Forum USA)

日本は昔から資源が乏しい国と言われてきている。しかし、ここで実は資源はいくらでもある、と言ったら誰もが怪訝な顔をするに違いない。これは事実である。ここで言う資源とは「無駄」である。つまりこの無駄をなくすことにより時間と金を創生することができる。こう言われると反論する人は少ないだろう。

妻の母の心臓のお医者さんご夫婦のお宅に招かれたときのことです。お二人はレバノン人ですが、その奥様から「日本人のPERFECTIONは一体どこから来たの?隣国の中国や韓国から来たとは思えないのよ。本当に素晴らしいことだと思うわ。」というコメントをいただきました。

私たちのPERFECTION、完全主義(完璧主義)が一体どこから来たなんて今まで考えたこともなく、その時は奥様の質問に答えることができませんでした。本当に一体どこからそしてどのようにして培われたのでしょうね。

そのあと、私は日本人の完全主義というものが無性に気になり出しました。それは外国の人たちに素晴らしいものと認められ、特に「モノづくり」の世界では賞賛の的です。しかし、色々調べているうちに、完全主義は日本人の生来の国民性そして性癖のように思えてきました。そして、それが必ずしも良いことばかりではないことに気づきました。逆に、大きな無駄を生み出したり、さらに生産性を阻害する要因になっていると思うのです。ここでは、完全主義の良さをちょっと横において、完全主義もほどほどにしましょうというお話しをさせてもらいます。

1.不揃いのリンゴ

私がイランのテヘランに駐在していた時の話です。まだイラン革命が起こる前のパーラビ王朝の時代でした。日本の本社は毎年海外から現地人マネージャーを招き、一週間の研修を行う制度がありました。その研修に私の部下のマネージャーも参加させたのですが、戻って来た彼に日本で最も印象深かったものを聞いたところ、彼は「TRAFFIC & APPLES」と答えたのです。

TRAFFICというのは(これは完全主義と関係無いのですが、話しの流れとして紹介しておきます)、日本では車が走っているときも、信号の前で停車するときも、ものの見事に車線どおり並んでいるのは驚いたというのです。普通ならそんなことは当たり前だと言いたくなりますよね。しかし、当時のイランの運転は、まるで広大な砂漠でラクダを駆っているようなもので、車線どころか交差点では我先に行こうとセンターラインさえも無視して対向車と向き合って停車します。そして信号が青に変わった途端、それこそ気合に任せて車の鼻面を先に突っ込んだ者が勝ちというような運転だったのです。(両方の気合が良すぎての衝突は日常茶飯事でした)。

イランはそういう交通事情でしたから、初めて見る日本の運転マナーの良さに驚いたのは、さもありなんと思いました。参考までに、アメリカ人の友人いわく(革命前はまだ多くのアメリカ人がいました)、イラン人の運転を表して、”They fully know sizes of cars by every inch, but they don’t know sizes of roads at all.” 「彼らは車のサイズをインチ単位で知り尽くしている、しかし道路のサイズを全く分かっていない。」(上手く言うものだと感心しました)。

そして、次のAPPLESなのですが、彼は日本でどこに行ってもリンゴの形が揃っているのに驚いた、お店の人に一つ一つ型押しして作るのかと聞いたというのです。確かに彼のいうとおり、日ごろ私たちは形も色も揃ったリンゴを見慣れていて、それを不思議に思ったことがありません。当時イランで買えるリンゴは形も色も本当に不揃いでした。しかし、信じがたいほど安かったです。日本で不揃いのリンゴが売れないのは、日本人の性分(性癖)がそれを許さないのでしょう。

しかし、形も色も揃ったリンゴもちょっと度が過ぎていると思いませんか。不揃いのリンゴも口に入れば美味しいはずで、店頭に並んだらもっと安く買えるはずです。リンゴだけでなく、サクランボやメロンも同じです。それらは時には「桐の箱」に入っていますよね。一粒300円のサクランボ、一個2万円のメロンは、日本人以外に世界の誰一人その価値を認めません。日本人の凝り性というか、行き過ぎた何かの産物でしょうけれど、大きさも形も色もそろえるために余りにも多くの労力と時間を無駄にしているように思います。(サクランボやメロンの生産業者の方々に叱られそうですが。)

因みに、派遣した彼からは研修に関して何のコメントもありませんでした。本社が折角お金をかけて企画した研修の効果はどうだったのでしょう。私は研修そのものが無駄でないことを願わざるを得ませんでした。

(注:ここでの記述はイラン人の方々を揶揄するものではないことを断っておきます。あくまで私が経験した事実を書かせていただきました。)

2. 長さ18cmのアスパラガス

今度は、私がジャカルタに駐在していた1980年台の話です。ある最大手の日本のスーパーがバンドンという所で地元業者にアスパラガスを作らせ始めました。そこは少し高地で気候が年がら年中アスパラガスの栽培に適していたのです。その地元業者は既にオランダにも輸出していました。

新しく来た日本のスーパーが要求した条件は非常に厳しく、アスパラガスの長さは18cm、白い部分の長さは8cmというものでした。地元業者いわく、「オランダ向けは作れば全部引き取ってくれるのに、日本人はなぜ長さ18cmで白い部分が8cmのアスパラガスしか食べないのか」。

そのスーパーの担当者の回答は、「そうでないと日本人は買ってくれない」、だったそうです。日本向けの条件を満足させるには、その歩留率は約30%とのことでした。当時はスーパー全盛期のころで、その購買力にものを言わせて「買ってやる。」という態度で納入業者泣かせでした。そのアスパラガスの供給契約は余りにも採算が悪いので、数年後地元業者側から打ち切られました。蛇足ですが、その日本のスーパーは1990年台に業績不振に陥り、2000年台に入って他社に買収されました。それがスーパー全盛の終わりを告げる象徴的な出来事でした。

日本のスーパーに並んでいる野菜の荷姿はアメリカとは比べ物になりません。アメリカの野菜は見た目も良くないし捨てる部分も多いのですが、日本の野菜はまるで芸術品のようです。しかし、そのモノ自体の違い以上に日本の価格ははるかに高いのです。

日本人には「もったいない」精神が培われてきたはずですが、食品だけは美しくないと買わないという性癖が大きな無駄を生んでいます。そして食品の賞味期限も、その理解はまだ食べられる期限のはずですが、まるで使用期限が過ぎたように捨てられている無駄も見過ごすべきでは無いでしょう。これらも日本人の困った性癖による無駄だと言えます。(後編に続きます)

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Japanese Forum USA(JFUSA)在米日本人フォーラム

ライタープロフィール

在米日本人フォーラム=JAPANESE FORUM USA(JFUSA)は長年、米国で企業経営に携わり、現地社会に融和し生活して来たアメリカ在住の日本人有志によって発足。豊富な滞米経験を活かし日本の良き将来のための提案や情報の提供を目的としています。

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