【ニューヨーク不動産最前線】
オーナーが悩まされる「ユニット準備」とは?

ニューヨークの持ち家比率は全米に比べて低く、逆に賃貸比率はとても高いです。当然コンドミニアムを投資用に買ってテナントに貸し出しているオーナーも多いのですが、テナントが変わる時には結構費用がかかります。

アパートオーナーはテナントが変わるたびに「ユニット準備(Unit Preparation)」という、部屋を次のテナントに貸すための作業をやります。主には部屋全体のペイントと清掃なのですが、通常はこれだけでは済みません。窓掃除やエアコンのフィルター取り換え、キッチンやバスルームの水回りのコーキング、キャビネットのノブが取れているものを直すなど、入居中には気が付かないような細かい作業がいろいろと見つかります。それぞれに数百ドルずつかかります。特に床の傷みは家具が入っている時には見落としがちですが、テナントが退出した後にはきずとかシミが大変目立ち、床の手入れには数千ドル以上かかってしまいます。

通常の日常使用による経年劣化の場合、オーナーは100%預かっている敷金を返却しますが、それ以外のダメージについてはテナントとオーナーのどちらが負担するかで揉めることがあります。たとえば、入居中に水漏れがあったにも関わらず、テナントがオーナーへ報告をしなかったために床に水漏れ後のシミが広がったような場合、オーナーは床の張り替えが必要です。テナントがすぐに報告していれば防げたシミかもしれません。床の種類によっては一部分だけの張り替えができずに部屋全体を張り替えることになる場合もあります。

テナントが納得して費用を負担する場合は別として、ほとんどの場合はオーナーが通常のユニット準備に加えて、これらのダメージの費用も負担することになりがちです。小さなスタジオでもペイントだけで2000~3000ドルかかり、そのほかの作業が必要な場合は1万ドル超えになってしまう場合もあります。もちろん部屋が大きくなるとユニット準備費用も増えます。

コンドミニアムの作業は外部業者(コントラクター)に依頼します。ビルに出入りできるコントラクターはNYCの免許を持っている会社限定で、前もってビルに保険を提出する義務があるのですが、この保険代が高額のため、コントラクターの作業代も高額になってしまいます。余談ですが、ビルはコントラクターに1~3ミリオンの保険加入を義務付けています。オーナーが安いコントラクターに頼もうと思っても、免許を持っていなかったり保険に入っていなかったりする業者だとアウトです。

テナントが部屋をきれいに使ってくれるかどうかは貸し出す時には分かりませんが、オーナーはなるべくきれいに使ってくれそうな(?)テナント、そして長期で借りてくれるテナントを選ぶのが、高額のユニット準備費用を避ける方法です。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japan(現)に入社。東京で外資系企業のオフィス移転担当ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務に。1999年より住友不動産販売NYで住宅ブローカーとして活躍。趣味は旅行とトレッキング。

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