海外教育Navi 第49回
〜子どもの性格に合った学校の選び方〜〈前編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.海外に行ったとき、また日本に帰国したとき、子どもの性格に合った学校を選ぶコツを教えてください。

学力が高く優秀な学校に希望通り入ったものの、なじめず悩んでいる子がいます。一方で、希望通りではなかったけれど、入学してからいきいきと学校生活を送っている子がいます。通学前からその学校が子どもに合っているかどうかを見極めるのはとても難しいことです。

学校選びに正解はないかもしれません。ですが、ご質問の「子どもに有意義な学校生活を送ってもらいたい。そのために、子どもの性格や能力に合った学校に通わせたい」という気持ちは十分わかります。

今回は、コツとまではいかないとしても、「子どもの性格に合った学校選択」において、留意すべき点をいくつかお伝えしたいと思います。

次の5点について、ごいっしょに考えながら見ていきましょう。

・お子さんはどんな性格か。
・お子さんの性格からどのような学校に通わせたいか。
・学校情報をどのように集めるか。
・学校情報のなかで、何を大切にするか。
・最終的にどのように学校を決めるか。

子どもはどんな性格か

お子さんはどのような性格だと思われますか。

・積極的でいろんなことにもの怖じせず向かっていくタイプ
・消極的で、親や先生からの指示があってから行動に移すタイプ

なかにはふだんはとても積極的だけれど、ある場面では後ろ向きになるという子もいるでしょう。また、消極的に見えるけれども、運動など得意な分野では自分から進んでやっていくという子もいるでしょう。人の性格は千差万別です。

また、親は子どもの性格をこうだと思っていても、学校の先生は別の見方をしていることもあります。実際に、家ではダラダラしていてお母さんから叱られてばかりという子が、学校ではリーダー的存在でてきぱきと活動する行動派ということがありました。

案外、お子さんの性格をこうだと思い込み、決めつけていることがあるかもしれません。もう一度お子さんの性格を見直してみてください。

子どもの性格からどんな学校に通わせたいか

ひと口に「子どもの性格に合った学校」といっても、捉え方によって、

①子どもの性格と合い、過ごしやすい学校
②子どもの長所を伸ばしてくれる学校
③子どもの短所を補ってくれる学校

と、さまざまなケースが考えられます。

①の場合、「家庭環境がよく似ていて、子どもと同じようなタイプの子が多い学校」。②の場合は「さまざまなタイプの子がいて、長所をしっかり褒めて伸ばしてくれる学校」。そして③であれば、「タイプの異なった子がいて、短所をうまく直してくれる学校」と、学校選択も異なってくるでしょう。

そういったことをどのように考えるか、つまり家庭の教育方針が重要になってきます。

→「第50回 〜子どもの性格に合った学校の選び方〜〈後編〉」を読む。

今回の相談員
海外子女教育振興財団教育相談員 
菅原 光章

1979年から奈良県の公立小学校に勤務する。1983年より3年間、台北日本人学校へ赴任。帰国後は奈良市立小学校に勤務、教頭・校長を歴任する。また奈良県国際理解教育研究会の会長を務めた。退職後、奈良県教育振興会理事ならびに同志社国際学院初等部の教育サポーターを務める。2016年4月より海外子女教育振興財団の教育相談員。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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