海外教育Navi 第53回
〜現地でうまく友達を作る方法〜〈前編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.海外赴任が決まりました。小学生の子どもを帯同します。子どもが友達をうまくつくれるか心配です。現地で友達をつくる方法を教えてください。

ご自身の子どものころを思い出してください。気がついたら気の合う友達が周りにいた、といったかたが多いのではないでしょうか。それはきっと理論や法則ではなく、自然な成り行きのなかで友達としての関係が築かれてきたからだと思います。慌てずにお子さんの様子を見守ってあげてください。

しかし、お子さんが友達づくりに悩んでいて助言を求めているようなら、たとえば次のようなアドバイスをしてあげたらどうでしょうか。

・少し勇気を出して、あいさつだけでもいいから自分から相手に話しかけてみよう。
・相手を受け入れ、相手の話にしっかり耳を傾けよう。
・つねに笑顔で接することを心がけよう。
・同じ趣味や話題を持っている人を探そう。
・自分に自信を持とう。

一度に多くのことを伝えるのではなく、お子さんの様子を見て、これがいまいちばん必要だと思われることを助言されたらよいと思います。

国内の子どもたちなら以上のような内容を伝えて終わるところですが、海外で暮らし学校生活を送る子どもたちの場合、さらにつけ加えてお伝えします。

現在、海外で学ぶ小・中学生は約8万4000人。この子どもたちは以下のような教育施設に通っています。

海外でのおもな教育施設

○日本人学校(現地の日本人社会が設置している私立学校で教育形態等は日本国内に準じている)

○私立在外教育施設(日本国内の学校法人が現地に設置している私立学校で教育形態等は日本国内に準じている)

○補習授業校(現地の日本人社会が設置していて、日本の教育の補充を目的としている定時制の私立学校)

○現地校(現地の国や自治体、または学校法人等が設置している学校)

○インターナショナルスクール(現地において、おもに外国人の受け入れを目的とした私立学校)

「日本人学校」「私立在外教育施設」「補習授業校」に在籍している子どもたちの大多数が日本人です。日本の教育システムで運営がなされ、入学式や卒業式、運動会など日本とほぼ変わらない学校行事が行われています。学校での言語は日本語です。

「現地校」は現地のよき市民を育てるために設置された学校で、当然、現地の子どもたちが在籍しています。そのなかにはアメリカのように、多民族国家で現地以外の国の子どもたちを多数受け入れているところもあります。学校で使われていることばはそれぞれの国や地域の言語になるため、さまざまです。

また「インターナショナルスクール」には多様な人種、国籍の子どもたちが学んでいます。50カ国以上の子どもたちが在籍している学校も珍しくありません。アメリカ系やイギリス系、フランス系などがありますが、日本の子どもたちが通っている学校の多くは、英語による授業を行っています。

日本人学校、私立在外教育施設、補習授業校への通学なら

お子さんが、もし「日本人学校」や「私立在外教育施設」「補習授業校」に通われるのであれば、周りの子どもたちはお子さんと生活習慣がよく似ていて、日本語での会話が中心となるでしょう。お子さんの友達づくりは日本での状況とそれほど大きな違いはないかもしれません。

ただ、ここで気をつけなければいけないことがあります。それは、海外のほとんどの地域では「治安面等から子どもたちだけで行動することができない」ということです。小さなお子さんの場合はなおさらです。

日本であれば、お子さんが学校から帰ってきてひとりで友達の家や公園に出かけ、遊んで帰ってくるという姿は珍しくないでしょう。しかし海外では、親が子どもを連れて友達の家を訪問したり、公園に遊びに連れて行ったりすることが一般的です。

そういった環境のなかで、お子さんの友達づくりにおいて親の果たす役割は決して小さくありません。お子さんが友達と触れ合う場を探すこと、その機会を多くつくってあげること、さらに親が進んで地域のかたと触れ合うこと、学校の行事に参加することなど、親の積極的な姿勢がとても大切になってきます。

→「第54回 〜現地でうまく友達を作る方法〜〈後編〉」を読む。

今回の相談員

海外子女教育振興財団 教育相談員
菅原 光章

1979年から奈良県の公立小学校に勤務する。1983年より3年間、台北日本人学校へ赴任。帰国後は奈良市立小学校に勤務、教頭・校長を歴任する。また奈良県国際理解教育研究会の会長を務めた。退職後、奈良県教育振興会理事ならびに同志社国際学院初等部の教育サポーターを務める。2016年4月より海外子女教育振興財団の教育相談員。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

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ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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