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海外教育Navi 第54回
〜現地でうまく友達を作る方法〜〈後編〉
記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2020年6月15日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.海外赴任が決まりました。小学生の子どもを帯同します。子どもが友達をうまくつくれるか心配です。現地で友達をつくる方法を教えてください。
前回のコラムでは、日本人学校や補習授業校へ通う場合の心構えをお伝えしました(前回記事へ)。今回は、その続きをお話しします。
現地校、インターナショナルスクールへの通学なら
海外で選択した学校が「現地校」や「インターナショナルスクール」であれば、日本の言語や文化とまったく異なった子どもたちと学校生活を送ることになります。そこになじんでいくにはある程度の時間を要するでしょう。もちろん、お子さんの性格やクラスの雰囲気などによっても違いはあります。
冒頭に記した友達づくりのアドバイスはここでも生かされると思いますが、やはりことばが友達づくりの大きなきっかけになるのは間違いありません。英語など学校で使用されていることばで簡単なあいさつや自分の名前を言えるように、出国前に少し練習しておかれたらよいと思います。そのとき、無理に教えるのではなく、楽しく学べるようにしてあげてください。
ことばで通じにくいところは具体的な物を提示することもお勧めです。日本の写真やアニメ、玩具などは、異なった文化で育つ子どもたちとの貴重な橋渡しになります。
また、英語などの言語をある程度習得しているお子さんなら、簡単な自己紹介ができるようにしておくこともよいでしょう。本財団が出版している『海外子女教育手帳』もぜひご活用ください。自分の出身地や趣味、特技、日本での学習内容などを書き込み、現地の先生や友達に見せて、自分のことを理解してもらうことができるような内容になっています。
もう一つ『地球に学ぶ』という本財団からの出版物についてお話しします。
海外で貴重な体験をしている子どもたちが「何を考え、何に感動し、何に悩んでいるのか」その生の感覚をさまざまな形で表現してほしい、そして正しく豊かな日本語をしっかり身につけてほしいという願いから、本財団では毎年「海外子女文芸作品コンクール」を開催しています。そこに集まった海外で暮らす日本の小学1年生から中学3年生までの子どもたちが書いた詩・短歌・俳句・作文のうちで、優れた作品を掲載しているのがこの『地球に学ぶ』です。
私が強く印象に残った作文があります。紙面の都合上、全文は掲載できませんが、何点かの作品を抜粋して紹介します。
『地球に学ぶ』より
<ニューヨーク・小2>
わたしは、えいごがしゃべれなかったのでさいしょは、ともだちをつくるのがたいへんだったけど、ママがつくってくれたたんごちょうを見ながら話しかけてみました。
仲間に入れてくれて、えいごがつうじて、チャレンジしたらできるんだとおもい、なにがあってもがんばるぞとおもいました。
そして大しんゆうができました。
<ダービー・小3>
私は、自分から声をかけることがはずかしくて少しにが手でした。えい語もまだまだ自信がないので、自分から声をかけるのは、とてもゆう気がいります。その上、さい近、学校では友だちとうまくいかず、悲しくなる言葉を言われて、ますます自分に自信がありませんでした。
けれども、ピアノを通して「ウェルダーン」とたくさんの人から声をかけてもらえて、自分でもびっくりするくらいうれしくて、自信がもてるようになりました。
<シカゴ・小3>
ぼくは、日本からアメリカにひっこしてきた時、アルファベットや自分の名前を、えい語で書くことすら出来ませんでした。もちろん、話すことも出来ません。(中略)お母さんに「言葉が分からないからふ安だと思うけど、いつもえ顔でいれば、クラスの子となかよくなれるよ。」と言われたので、ぼくはいつもえ顔でいようと思いました。(中略)次に体を使って表げんすることです。そのためには、ぜんしんを使って、動くことと、その時こまかいところまで、つたえようとする気持ちが大切です。(中略)先生や友だちがどんなふうにしているかを、かんさつしたりして、ぼくも、まねをしてみたり、こうしたらいいかなと思ってやっていました。
さいごに、やさしくすることです。
<ダラス・小3>
わたしは、クラスメイトの子たちが、外国から来た、えい語の話せないわたしに、たくさん話しかけてくれるのにおどろきました。(中略)「言葉が通じないから」と自分できめつけてしまうのはよくないな。言葉がわからなくても、仲よくなりたい気もちや、クラスメイトをたすけてあげたいという気もちをもって人とかかわっていくことは大切なことだ。とわたしはげん地校でのけいけんで強く思いました。
現地の子どもたちは日本からの編入生がどんな子なのか興味津々です。ことばがうまく通じなくても友達になりたいという気持ちがあれば、その気持ちはかならず相手に通じるはずです。
自分に自信を持つこと、前向きな気持ちで海外に赴くこと。きっと新たな出会い、素敵な出会いがお子さんを待っています。
海外子女教育振興財団 教育相談員
菅原 光章
1979年から奈良県の公立小学校に勤務する。1983年より3年間、台北日本人学校へ赴任。帰国後は奈良市立小学校に勤務、教頭・校長を歴任する。また奈良県国際理解教育研究会の会長を務めた。退職後、奈良県教育振興会理事ならびに同志社国際学院初等部の教育サポーターを務める。2016年4月より海外子女教育振興財団の教育相談員。
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