海外教育Navi 第65回
〜日本帰国後の学校選び〜〈前編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.海外から、帰国後に通う学校を探さなければなりません。子どもに合う学校を見つけるにはどうしたらよいのでしょうか

帰国後の学校選択を考えるのは、海外駐在時に行うべき最も大切なことの一つです。

学校選択(志望校の決定)は、次の過程を踏みながら、慎重に行う必要があります。

①お子さんの特性・希望の把握
②学校情報の収集
③学校の絞り込み
④学校訪問・見学

学校選択のスタート

学校選択(志望校の決定)を行ううえで基本となるのは、お子さんについておもに次の項目を保護者がしっかりと把握することです。

・性格
・学習に対する意欲・姿勢
・将来の夢・希望
・得意なこと、不得意なこと
・趣味・特技

帰国生にとっては、さらに海外での滞在期間や通学した学校など生活体験や学習体験も一人ひとり大きく異なります。海外での経験を帰国後の学校でいかに伸ばしてほしいか、またいかにフォローしてほしいかも明確にしておくことが大切です。

帰国生受け入れ校のタイプ

帰国生受け入れ校(入学・編入学試験の方法や入学後の指導において帰国生に対して特別な配慮をする学校)は、それぞれの学校で帰国生への配慮の仕方が異なります。

1.帰国生への適応教育を重視して行うか
2.帰国生の海外生活を重視するか

これにより、大きく4つのタイプに分かれます(分類図参照)。

どのタイプの学校が帰国後の指導・支援を受ける学校としてお子さんにとってよりマッチするかを押さえることも大切です。

学校情報収集のポイント

学校情報を収集したり、各校の特徴をつかんだりする際のおもなポイントを挙げてみましょう。

(ア) 校風・雰囲気
(イ) 生徒の様子・雰囲気
(ウ) 学校形態(共学校・女子校・男子校、中高一貫校、大学付属校、宗教系、学科・コースの編成等)
(エ) 一般的な指導内容
(オ) 未習分野の補習などの指導内容
(カ) 英語などの取り出し授業等の指導内容
(キ) 施設・設備
(ク) 学校行事(留学制度の有無などを含む)
(ケ) 課外活動
(コ) 通学時間
(サ) 進路実績
(シ) 入試レベル(難易度)

どの点に重きを置くかは、前述のお子さんの特性・希望とご家庭の教育方針をもとに順位づけをすることになります。

情報の収集源

一つ目は、書籍類から情報を得ることが考えられます。

学校案内に関する冊子は一般的に市販されていますので、海外在住とはいえ1冊は手元に置きたいところです。旧来の方法ですが、将来的にもなくなることはなくいちばんの情報源と考えます。

帰国生にとっては、「学校便覧(*1)」も必要ですし、帰国した母親のグループ(*2)が受け入れ校を訪問してまとめた冊子もたいへん有用です。

二つ目は、各学校のホームページです。各校とも工夫を凝らして、自校の特徴を表そうとしていますので、前述のポイントを参考に熟読してください。

三つ目は、ブログ等の私的な経験談です。ただし、有用でもあり、かつ危険も伴うことを踏まえたうえで活用ください。

四つ目は、合同説明会への参加です。各都道府県の私立学校協会が主催する説明会やキリスト教系の学校が集まる説明会、寮のある学校が集まる会などが毎年開催されています。

例年7月下旬あたりに開催される海外子女教育振興財団主催「帰国生のための学校説明会・相談会」には150校を超える帰国生受け入れ校が参加しています。

帰国生にとっては、複数の受け入れ校の先生がたからその学校の生の情報を得る絶好の機会ですし、パンフレットなど紙ベースの資料も入手できます。各校を比較、検討できる場でもありますので、志望校を絞り込む段階で積極的に参加してください。

*1「帰国子女のための学校便覧2020」(海外子女教育振興財団)には、1293校の入学・編入学情報が掲載されています。
*2 関東地区「帰国生母の会フレンズ」、関西地区「関西帰国生親の会かけはし」

→「第66回 〜日本帰国後の学校選び〜〈後編〉」を読む。

今回の相談員

海外子女教育振興財団 教育相談員
後藤 彰夫

千葉県と東京都で教員、ワルシャワ日本人学校教諭を経て、東京都の公立学校で教頭・副校長・校長を歴任。2013年から6年ほど本田技研工業株式会社で教育相談室長を務め、2019年より海外子女教育振興財団の教育相談員。東京都海外子女教育研究会、全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会事務局長も務める。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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