海外教育Navi 第88回
〜帰国枠での中高大受験の際の留意点〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.中学校・高校・大学における帰国枠での受験に関して、帰国時期を含めた留意点を教えてください。

前回のコラムでは、受験の資格要件や帰国のタイミングについてお話ししました(前回記事へ)。今回は、その続きをご説明します。

IB入試やAO入試もある大学入試
大学入試では、従来、文系では「論文と面接」、理系ではそれに加え「数学と理科」を課している場合がほとんどでしたが、近年は「IB入試」をとり入れる大学も増えてきました。インターナショナルスクールに就学している場合には「DP」(ディプロマ)の履修をお勧めします。

また、これまでの帰国生入試を「AO入試」に含めて行う大学も増えています。AO入試は国内生も対象としていますので、帰国生は「海外就学経験」等の資格で受験できることになります。

帰国時期が広がる「編入学」
帰国生入試の特徴の一つに「編入学入試」があります。帰国生を受け入れている中学校や高校の多くで「編入学試験」を設定し、学年途中で帰国した生徒も積極的に受け入れています。

基本的には学期ごとでの受け入れが多いのですが、なかには「随時受け入れ」を行っている学校もあります。東京都や神奈川県の帰国生を受け入れている公立高校や一部の私立高校のように、1年生の九月入学や後期入学制度を設けている学校もあります。

ただし、編入学による受け入れでは「欠員募集」という条件を付している場合もあります。

また、近年は公立の中等教育学校で帰国生を受け入れている学校も増えてきましたが、中高一貫の6カ年を通した教育を重視し、編入学に門戸を閉ざしている学校もあります。

これらの情報については、学校のHPで確認できるほか、学校説明会や入試を海外で行っている学校もあります。また、本年度はコロナ禍の状況に配慮し、オンラインで学校説明会や入試を実施している学校もありました。まずはインターネットを駆使するなどして、必要な情報を得るよう心がけておくことが大切です。

受験対策の基本は海外での学校生活の充実

帰国生入試では多様な受験形態が用意されています。自分の学校歴や学力の実態に合った受験方法を選択することができますので、現地校での学習や生活を充実させておくことが合格するポイントと考えます。

面接が重視される帰国生入試
帰国生入試では面接試験が合否において重視される傾向があります。面接試験の形態としては受験者だけでなく保護者面接も行っている学校が多くあります。

また、集団面接を含め、帰国生の学校歴によっては英語での面接を求められる場合もあります。

なかには書類選考のみで合否を出している学校もありますが、多くの学校で「帰国生の海外での学習状況やがんばり」を大きな評価ポイントにしています。日ごろから生活面や学習面についてご家族で力を合わせてがんばっておくことが重要と考えます。

検定試験で学力をアピール
帰国生入試では「学校歴に見合った学力」を発揮していくことが必要ですが、誰もが納得できるような「客観的な学力」をアピールしていくことも大切です。特に、入試要項で一定の「英語検定資格」を設定している学校もありますので、英語検定は帰国生の力を客観的にアピールできる好材料と考えます。さまざまな検定試験がありますので、滞在国で取り組みやすい検定試験を探してみてください。

また、このように帰国生入試では帰国生の学力の実態に応じた受験ができるような配慮がなされていますので、志望校の入試要項を調べて帰国のタイミングを見極めることも重要です。

帰国生の心構え

最後に、帰国後の心構えについて話します。

これまでお伝えしたように、帰国生入試では一定の配慮がなされており入試情報を正確に入手できれば帰国生にとってアドバンテージといえます。しかし、入学後には一般受験で入学した友達と学び合うという心構えを持つことが大切です。帰国後の学校生活では海外で身につけた語学や感性を大事に伸長していくとともに日本の学校や友達のよさも積極的に学び、日本と海外のかけ橋となるような国際人に成長してほしいと願っています。

今回の相談員

海外子女教育振興財団 教育相談員
平 彰夫

千葉県の公立小学校で教頭、校長を歴任。千葉県小学校長会理事、千葉県海外子女教育国際理解教育研究会副会長を経験。1998年より3年間、デュッセルドルフ日本人学校に教頭として赴任。この間、補習教室の教頭を兼任。2011年4月より海外子女教育振興財団の教育相談員。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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