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海外教育Navi 第100回
〜海外の学校における選択肢と留意点〜〈後編〉
記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2022年5月15日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
前回のコラムでは、日本人学校とインター校の特徴や留意点についてお話ししました(前回記事へ)。今回は、現地校の特徴と留意点についてお話しします。
(3) 現地校の特徴と通わせる際の留意点
現地校は、その国のよき市民となる人間を育てるための学校で、その国の教育制度のもとで教育が行われ、使用言語もその国の公用語であるケースがほとんどです。
義務教育期間は国によって異なり、一般的には9年が多く10年から13年という国もあります。
また学校年度は、アメリカやヨーロッパ諸国では年度始めが9月、終わりが6月であることが一般的なため、日本とほぼ半年ずれることになります。
現地校では多くの貴重な国際理解と国際性を養うことができます。その国の生活に根を下ろし、その国の人々と交わり、その国の言語で教育を受け、いままでと違う生活習慣を理解しながら、家族で不自由さやことばの壁を乗り越えることはかけがえのない体験です。
また、現地校はその国の文化の影響を受けています。教育内容、指導法、学校生活などは、その国独自の考え方により行われています。
たとえばアメリカの現地校では、褒めて伸ばす教育が行われています。「The sky is the limit.(君のやれることには限界はない。がんばれ!)」は、子どもを励ますことばで、全米のどこの学校でもよく聞かれます。この教育は、子どもの「個性」を伸ばすねらいもあり、自分が自信の持てるものを大切にして育てていくことにつながります。
さらに、英語圏では英語、非英語圏ではその国の言語が習得できます。語学の習得には時間がかかります。習得できるまでの間は非常に苦しいものですが、「気づいてみたらなんだか少しずつわかるようになってきた」という感じで進歩します。
通わせるうえでの留意点として、現地校の教育内容はその国・地域の教育委員会により指導内容が大まかに決められていて、日本と同じ学習内容とは限りません。
日本の義務教育期間中に帰国した場合、その国での学年に関係なく、学齢相当の学年に編入します。そのため現地にいる間は日本の学年での基本的な学習内容を理解しておき、帰国したときにまったく授業についていけないということのないようにしておくことが大切です。滞在する都市に補習授業校がある場合には、ぜひ行かせてください。日本の教科書を使って基礎的な学習を行っています。
終わりに
日本人学校、インター校、現地校を問わず、選択して通学した場合に本人が心がけるべき3つのことを挙げます。
・どの学校を選んだとしても学校の勉強を第一として、成績を向上させる。・家庭で過ごす時間が長いので、家庭学習を毎日計画的に行う。
・インター校、現地校はもとより、日本人学校に通っていても語学力をつける。
「海外での充実が未来を開く」ということばがあります。自らが興味を持ち、夢を抱いて「その実現のためにがんばろう」という気持ちで海外生活を送るなかにおいて子どもは大きくたくましく成長します。
ふだんから子どもを広く温かい目で励まし見守る保護者のスタンスが、子どものやる気を目覚めさせる確かな道につながります。
海外子女教育振興財団 教育相談員
清水 賢司
1975年返還直後の東京都小笠原村母島にて教員生活を開始。その後、都内中学校の副校長、校長を歴任。1991年より3年間ラスパルマス日本人学校(スペイン)、2014年より4年間テヘラン日本人学校(イラン)にて勤務。東京都海外子女教育グローバル教育研究会顧問。2018年より海外子女教育振興財団の教育相談員。
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