第20回 「ロゴはポートランドで起業」

文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)

一番人気はキャップ($25〜30)とTシャツ($25)だが、ロゴ入り商品アイテムが50にも上る。Photo © Michiko Ono Amsden

一番人気はキャップ($25〜30)とTシャツ($25)だが、ロゴ入り商品アイテムが50にも上る。
Photo © Michiko Ono Amsden

2年前に起業を決意
まずはインスタグラム

 2年前にポートンランドで起業して、今やオンラインショップでアメリカ国内は全州、海外には30カ国で商品が売れているというお店がある。Tシャツやキャップなどのカジュアルウェアのお店「ポートランドギアPortland Gear」だ。気さくにインタビューに応じてくれた経営者のマーカス・ハーヴェイさんはまだ20代半ばという若さ。オレゴン州の形がさりげなく入っている“P”はポートランドの頭文字、“Portland”をロゴに使ったデザインは、シンプルで着やすく、地元でも人気だ。HPでも、学生がカジュアルに着られる“BACK TO SCHOOL”というセクションを設けていて、我が家の高校生の娘もキャップがお気に入りだ。

 オレゴン大学でスクリーンプリンティングやアパレルデザインを学んで起業。「ポートランドは、自分の生まれ育った町で、小さいけれどこのサイズがいい。フード、人もいい。ずっとこの魅力を何かで表現出来たらと思っていたんだ」という。とは言うものの、ゼロからのスタートでどうやって商品をアピールしたのだろうか。

 「まず、2年前に“portland”というポートランドのいろいろなシーンを自分で撮ったインスタグラムを始めた。それが瞬く間に世界中から24万人を超えるフォロワーを集め、いよいよだと思って、同じ年のブラックフライデー(感謝祭明けの金曜日で全米の特売日として知られる)に2種類のアイコンとなるTシャツを載せてビジネスをスタートさせたんだ」。インスタグラムは“portlandgear”という商品を紹介しているアカウントも持っていて、そちらはなんと47万2千人もの人がフォローしている。今でこそ2人の従業員がサポートをしているが、当初はこのほかにフェイスブック、ツイッター、ワッツアップとソーシャルネットワークを駆使して、1人でビジネスを拡大してきたという。

クリーニング店だった時のレールにそのまま生かしてディスプレイ。「クールでしょ」とマーカスさん。Photo © Michiko Ono Amsden

クリーニング店だった時のレールにそのまま生かしてディスプレイ。「クールでしょ」とマーカスさん。
Photo © Michiko Ono Amsden

ポートランド愛に賛同
地元有名チームもコラボ

 eコマースとポップアップショップとして展開後、メジャーリーグ・サッカーのポートランド・ティンバースの本拠地であるスタジアム「プロビデンス・パーク」のすぐ近くにショップを開いた。元はクリーニング店だったのを、その時のレールをそのままディスプレイに利用して、シンプルながら洒落た造り。ビジネスを始めるにはいろいろと資金も必要だが、それについては「資金をこのビジネスに投資してくれる人を探したんだよ。事業プランについては、小さく始めてゆっくり成長と慎重に練るタイプ。投資してもらうにあたっては株式を発行して、利益還元もきちんと決めた」という。この2年間は順調に伸びて、株式は利益をのせて全部買い戻し、今は自分が100%の株主なのだそう。

 NBAチームの「ポートランド・ブレイザーズ」や名物書店「パウエルズシティ書店」など用にもTシャツを作っている。「プレイザーズは僕も大好きで、しょっちゅう試合を見に行く。みんなポートランドが誇りだから、話を持っていったら喜んでくれているよ。観光協会のTravel Portlandのイベントにもポップアップで協力していて、今年はポートランドが人気の日本でのイベントにも出させてもらった」と語る。

 “ポートランド”らしさあふれるインスタグラムから始まって「大好きなこの町をアパレルを通してアピールしたいんだ」というメッセージがとても伝わるインタビューだった。ショップのすぐ近くに、倉庫なども兼ねたオフィスも開き、「イベントなどもここで出来るしね!」と夢はますます広がっているようだ。

■Portland Gear
https://portlandgear.com
ショップ住所:627 SW 19th Ave, Portland, OR 97209
TEL : 503-437-4439

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

ライタープロフィール

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ。旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、翻訳多数。日本旅行作家協会会員。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る