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カリフォルニア在住のエッセイストが、日々のできごとや考えたことを通して、アメリカ生活のつらさ、楽しさ、人の温かさと哀しさ、そして笑いをつづります。
カテゴリー:極苦楽ライフ
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第42回 お金という友人
お金の過食症、拒食症という表現をどこかで見た時、なんてピッタリの表現かと感嘆したことがある。私たちはお金の話は下品だとして、あまり話さない。まるで、この世の中にはお金というものがな... -
第41回 スーザンのベンチ
大平洋の大海原が目前に広がるラグナビーチの高台。ここは私が一番好きな場所。陽光が天から降りそそぐ。真っ青な海は水平線まで吸い込まれるようだ。頭上の青空はそのまま宇宙へ舞い上がって... -
第40回 ロールモデル
8年前の11月4日、珍しい雨の朝、私は近所の家の車庫に設置された投票所に行った。初めて手にした選挙権で米国史上初の黒人大統領候補に1票を入れた。庶民的な雰囲気の中の原始的行為だった... -
第39回 明日はわが身かホームレス
ロサンゼルスの下町に我々がリトル東京とよんでいる日本人コミュニティーがある。20 世紀初頭に渡米した最初の日本人移民たちが住んだ古いビルも残されているから、当時の苦難の歴史が偲ば... -
第38回 パールの ネックレス
私は、ここぞという踏ん張り時に人に会う時、必ず身につける物がある。書類に向かう時は身が引き締まる黒のスーツを着る。重要な面談の時にはレディーらしい上品で華のあるドレスを着る。そし... -
[お知らせ]「極苦楽ライフ」が本になりました! 樋口ちづ子「花だから咲く」幻冬舎刊
フロントライン誌で「極苦楽ライフ」を好評連載中の樋口ちづ子さんが、本を出版しました! タイトルは、「花だから咲く ゼロからはじめたアメリカ極苦楽ライフ」。幻冬舎から、5月... -
第37回 モネの庭
本当はゴッホが亡くなったあの黄色い家に行きたかったのに、乗るツアーバスを間違えた。成人した娘と2週間パリで過ごした時のことである。フランス語をもっと勉強しておけばよかったと悔やむ... -
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第35回 抱かれて死にたい
死は他人には訪れても、自分の死はいつも遠い所にあるものだ。自分だけは死なない気さえしている。そんなバカなことはあるはずがないが、自分がこの世から居なくなるという事実を受け入れるの... -
第34回 しあわせな3日間
ロサンゼルス郊外のコスタメサ市にセガーストロムコンサートホールがある。ロサンゼルスのダウンタウンにあるディズニーコンサートホールと並び、音響効果の優れた、素晴らしいホールである。... -
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第32回 いい女 ①
ロスから車で2時間東に入った所にパームスプリングスがある。避寒地として有名である。ハリウッドの銀幕のスターたちや、東海岸の富裕層の別荘がある。町は冬場のシーズンには華やかな人々で... -
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第30回 半分のうな重
その青年はまっすぐにこちらの目を見ていた。アメリカ生活のどんな所が面白いですか、という彼の質問に私が答えている時だった。思いつくままに話した。興味深そうにいろいろ質問してくる。そ... -
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第28回 明日があるよ
キャンプに行った子供が、帰ると言った日に帰らない。連絡もない。胸騒ぎがする。もう、生きた心地もしない。親にとってつらいことは多々あるが、こんなにつらいことはなかった。夏のキャンプ... -
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第26回 いつか会える
今は本の注文はインターネットでできる。電子書籍もある。知識や情報は渇望と意欲さえあれば得られる時代になった。それでも、紙世代の私には、手垢の付いた本を手元に置く楽しみは捨てがたい... -
第25回 プラントだけ下さい
春先は桜見物に米国から日本に帰る人が多い。あの白でもない、ピンクでもない「桜色」としか形容できない花に、我々は長年心を奪われてきた。一輪でも可憐な風情がいとおしく、一枝にたわわに... -
第24回 ルートが見えるか
春になると一人の若者の後ろ姿をくり返し思い出す。30数年前に焼きついたイメージだ。 夫は豪雪の新潟県出身である。屋根に積もった雪を下ろすのが冬の大仕事。厳しい自然に耐えて...