ニューヨーク発
Dominique Ansel Bakery
東京・表参道、6月にオープン

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

「新アメリカン・ブランド」日本へ続々進出~第2弾
アメリカが、日本で再びブームのようだ。特に「食」の世界で、ローカル色の濃い新種のブランドが続々と進出している。ハンバーガー、ドーナツ、ピザなどが新しいスタイルのアメリカン・ブランドとして日本に上陸していく様を、数回にわたって紹介する。

東京上陸、これが噂のクロナッツ

東京上陸、これが噂のクロナッツ
Photo © Mirei Sato


 

オープニングを前に報道陣を迎え入れるドミニク・アンセル・シェフ

オープニングを前に報道陣を迎え入れるドミニク・アンセル・シェフ
Photo © Mirei Sato

 原宿・神宮前の交差点から、表参道のケヤキ並木を、青山通りへ向かってのぼる。昔からあるキディランドやオリエンタルバザー、比較的新参の高級ブランド店をいくつか通り過ぎて、表参道ヒルズの向かいで、脇道へ入る。

 そこに、ガラス張りのベーカリーが待っていた。入り口で、シェフのドミニク・アンセルさんが迎えてくれた。あの「クロナッツ」の生みの親だ。

 パリで生まれ、ニューヨークの超有名フレンチ・レストラン「ダニエル」でエグゼクティブ・ペイストリー・シェフを務めた経歴の持ち主。だが彼を世界的に有名にしたのは、2011年秋にソーホーにオープンした自店で新開発した「おやつ」だった。

 バターをたっぷり練り込んだクロワッサンの生地を揚げてつくったドーナツは、名づけてクロナッツ。外はサクサク、中はフワフワ、という新食感が話題になり、メディアの熱狂も手伝って、大人気に。個数限定のため、並んでも買えなかった人が続出し、手に入れた人が「アマゾンで高値で売った」とか、ブラック・マーケット伝説まで生まれた。

 もちろん「模造品」もあちこちに。クロナッツは、ここ数年アメリカで流行中の異色の食べ物を組み合わせるフュージョン料理の中でも、大成功した口だ。

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 そのアンセルさんが6月20日、初の海外店舗を東京にオープンした。「ドミニク・アンセル・ベーカリー・トウキョウ」。

 「ニューヨークで行列の大人気クロナッツがついに日本初上陸!」。日本人が飛びつきそうな宣伝文句だ。オープン直前の報道陣向けレセプションに行くと、女性ファッション誌や主要テレビ局、米有力紙の特派員などが詰めかけていた。

シェフがマンガチックにお出迎え

シェフがマンガチックにお出迎え
Photo © Mirei Sato

 ニューヨークの店舗の落ち着いたイメージとはずいぶん違う、軽い雰囲気だ。「日本といえばMANGA」なのだろうか、店の入り口にはアンセルさんをキャラにしたポップアップ・ウインドーがあり、ふきだしマークで「ハローTOKYO!」とセリフまで入っている。
店内の壁には、ニューヨークやパリ、東京の地下鉄のマップや駅名などが描かれている。「フランス菓子のお店にありがちな、ちょっと敷居が高そうな雰囲気や、シャンデリアなどは避けて、2050年の未来をイメージした」という。

 主役はやはり、クロナッツ。1個594円で、東京でも毎日数量限定。1人2個しか買えない。クロナッツ人気の一因は、毎月変わるフレーバー。2度と同じフレーバーは出さないという方針だ。

 ニューヨークでは、実はクロナッツ以上にベストセラーだという「DKA」も東京に上陸。1個594円。ドミニクのクイニー・アマンの略称で、フランス・ブルターニュ地方の伝統的なお菓子をアレンジした。クロナッツと同じくバターたっぷりの生地で、表面はカラメライズされている。

 遊びごころあふれる「クッキー・ショット」(518円)は、チョコチップのクッキーを牛乳にひたして食べるアメリカのおやつ習慣からヒントを得た一品。温かくソフトなクッキー生地をショットグラスの形にして、中に冷たいバニラビーンのミルクを注ぎ、飲みながらクッキーもかじる。

冷たいミルクを注いで食べるクッキー・ショット

冷たいミルクを注いで食べるクッキー・ショット
Photo © Mirei Sato

甘〜いフローズン・スモア

甘〜いフローズン・スモア
Photo © Mirei Sato

 「フローズン・スモア」(778円)は、カリフォルニアの夏の風物詩、キャンプファイヤーの火でマシュマロをあぶってチョコレートとクラッカーにはさんで食べる「スモアーズ」の変形だ。マシュマロの中に冷たいアイスクリームが入っているのが特徴。注文すると、目の前でバーナーで焼いてくれる。なかなか面白いが、これはかなりの甘さ。アメリカ暮らしの私にもかなりスイートに感じた。

 「日本限定」のメニューがいくつかある。マンガの次はこれか?と思わせる「まねきネコ」のケーキ。

 リング状のシュー生地に抹茶ガナッシュやパッションフルーツのジャムをはさんだ「パリス・トウキョウ」は、パリ・ブレストを東京風にアレンジ。飾りに「イチョウ」をあしらっている。なぜかと聞いたら「東京都の木だから」という返事。店の近くにある神宮外苑のイチョウ並木をも思わせて、しゃれている。

東京限定「まねきネコ」

東京限定「まねきネコ」
Photo © Mirei Sato

東京限定「パリス・トウキョウ」

東京限定「パリス・トウキョウ」
Photo © Mirei Sato

 面白いのは、カフェの2階にある「個室」だ。いっけん茶室のような和風のセミプライベート空間で、特別予約した人しか利用できないそう。この部屋でしか食べられない「モンブラン・ワガシ」は、チェスナッツのクリーム、メレンゲ、オレンジ・コンフィを合わせ、金箔も使ってクリに見立てた素敵なお菓子だ。いっけんベーグルかと思うような「モナカ・クッキー」もあった。

 来店者とセルフィーを撮りながらオープニングを迎えたアンセルさん。「日本にはいいベーカリーがいろいろあると思うが、私の店も皆さんにきっと楽しんでもらえると思う」と話していた。

和風の個室空間

和風の個室空間
Photo © Mirei Sato

東京

Dominique Ansel Bakery Tokyo
東京都渋谷区神宮前5-7-14
03-3486-1329
www.DominiqueAnselJapan.com

クロナッツよりすごい? 人気メニュー「DKA」

クロナッツよりすごい?
人気メニュー「DKA」
Photo © Mirei Sato

 1階はテークアウトとイートインのスペース。2階はカフェレストランで、ロブスターロールとアップルサイダーなどを詰めた「セントラル・パーク・バスケット」などが注文できる。全88席。

東京都渋谷区神宮前5-7-14

ニューヨーク

Dominique Ansel Bakery
189 Spring Street, New York, NY 10012
212-219-2773
dominiqueansel.com

 クロナッツ、DKA、クッキー・ショットなど、おなじみのメニューが揃う。

189 Spring Street, New York, NY 10012


Dominique Ansel Kitchen
137 Seventh Avenue South, New York, NY 10014
212-242-5111
dominiqueanselkitchen.com

 今年4月、ウェストビレッジにオープンした姉妹店。カフェスタイルの店で、クロナッツは売っていない。

137 Seventh Avenue South, New York, NY 10014

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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