ニューヨーク発
LUKE’S LOBSTER
東京・表参道、4月にオープン

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

「新アメリカン・ブランド」日本へ続々進出~第3弾
アメリカが、日本で再びブームのようだ。特に「食」の世界で、ローカル色の濃い新種のブランドが続々と進出している。ハンバーガー、ドーナツ、ピザなどが新しいスタイルのアメリカン・ブランドとして日本に上陸していく様を、数回にわたって紹介する。

ツメ肉がたっぷり、香ばしいロブスターロール Photo © Mirei Sato

ツメ肉がたっぷり、香ばしいロブスターロール
Photo © Mirei Sato

 アメリカの東海岸の名物といえば、ロブスターだ。

 そのまま丸ごと蒸すかゆでるかして、バターソースをつけて食べるのが、本流だ。レストランでもホームパーティーでも、一人に1尾、どんと出てくる。こんなに豪快で、しかも「こんなに安くていいんですか?」と言いたくなってしまうぐらいだ。

 アメリカのロブスターの王様は、メーン州でとれるもの。ロサンゼルスでは秋になると、「メーン州から直送!」とうたう「ロブスター祭り」が、週替わりで各地で開かれる。けれど、現地で食べるロブスターに比べると、どうしても鮮度が落ちる。

 ニューイングランドでは、ロブスターは「ソウルフード」だ。忙しいランチタイムや、夏のビーチでの腹ごなしには、サンドイッチの「ロブスターロール」が大活躍する。海沿いのシーフードスタンドや、フィッシュマーケット、街中のデリなど、至るところでロブスターロールが食べられる。

 そんなアメリカ東海岸の食文化が、日本にもじわじわと伝わり始めているようだ。

東京の店舗 Courtesy of LUKE’S LOBSTER

東京の店舗
Courtesy of LUKE’S LOBSTER

 東京の原宿・神宮前の交差点そば。脇道に入り、原宿らしいおしゃれな洋服屋や雑貨屋が並ぶ中に、そこだけ海辺のような雰囲気をかもし出している店がある。

 木製のデッキ、漁に使う網や、ブイ。メーン州の海岸の小屋をイメージしたその店の名は、「LUKE’S LOBSTER」。今年4月末にオープンした、ロブスターロールの専門店だ。

 オーナーは、メーン州生まれのルーク・ホールデンさん。ロブスターのビジネスに関わっていた父親の手ほどきで、ハイスクール在学中から自前のボートを持ってロブスター会社を立ち上げたという。ニューヨークに引っ越して、大都会でロブスターが「気どった高級料理」として扱われていることに、大きな疑問を感じたのがレストランビジネスを始めるきっかけになった。

 ニューヨークで売っているサンドイッチは、ロブスターの肉よりも、「混ぜもの」のセロリやレタスの方が多いぐらい。それなのに数十ドルもする。そんな傾向を変えたかったという。

 父親のジェフさんと一緒に、メーンの漁師たちから直接ロブスターを買い付けるルートを確保。毎朝、とれたてを自社工場で蒸してパックして、ニューヨークへ。「質も味も最高のロブスターを、手頃な値段で、カジュアルなスタイルで提供したい」。2009年、マンハッタンのイーストビレッジに、テークアウトのみのスタンドをオープンした。

 ロブスターロールが15ドル。ニューヨーカーにとっても、サンドイッチとして決して安い値段ではないが、価値をわかってもらえたのだろう。人気が広がり、今ではワシントンDCやシカゴにも進出、計14店舗を構える。

「本日のロブスター」。仕入れ先の漁場が明記されている Photo © Mirei Sato

「本日のロブスター」。仕入れ先の漁場が明記されている
Photo © Mirei Sato

 アメリカと違って、日本にはロブスターを食する習慣がない。ロールはおろか、ロブスターの味も知られていない。東京進出は、そんなところからの出発、挑戦となったが、「本物の味で勝負して、日本にもロブスター文化を根づかせたい」と、店の担当者は意気込みを語る。

 「ニューヨーク発祥」というキャッチフレーズの効果もあり、オープン前から頻繁にメディアに取り上げられた。「いつか食べたいとあこがれていた」「アメリカで食べた懐かしい味を日本でもまた」という人たちもいて、オープン当初は、昼前から行列ができ、夕方には売り切れてしまったという。

 ニューヨークをウリにしているが、ロブスターはメーン産だけにこだわる。季節によって漁場は異なるので、店の看板に「本日のロブスターはここから」と明記している。

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 LUKE’Sのロブスターロールの特徴は、ロブスターが主役であること。ふつうのロールは、「ロブスターサラダ」と名称変更すべきなぐらい、野菜がいっぱい混ぜ込んである。マヨネーズも大量だ。そして、テール部分のロブスターがちょこっと入っている。

 LUKE’Sは、こうした「常識」をくつがえす。使うのは、ロブスターの部位でも一番フレーバーが豊かな、ツメの部分。それもレギュラーサイズのサンドイッチに、3尾分も入っているから、かなりボリュームがある。

 マヨネーズはほんのわずか。隠し味にレモンバターソースを上からかける。オレガノ、ブラックペッパー、セロリ、ガーリック、タイムのスパイスが、アクセントだ。パンは、バターを塗って、外側をこんがりと焼く。

 一口かじると、違いがわかる。サラダではない、ロブスターを食べている、という満足感。マヨネーズの味がしないのも、新鮮だった。

 私が訪れた日は、雨模様だったが、開店前から「まだですか?」と人が集まっていた。中には、こちらも原宿に近年オープンしたシカゴ生まれのポップコーン屋「Garrett」ですでに買い物をして来たようで、紙袋を抱えて待っている人もいた。

 飛行機に乗らなくても行かれるアメリカ。それを東京で「はしご体験」するのも楽しそうだ。

クラブロール Courtesy of LUKE’S LOBSTER

クラブロール
Courtesy of LUKE’S LOBSTER

シュリンプロール Courtesy of LUKE’S LOBSTER

シュリンプロール
Courtesy of LUKE’S LOBSTER

TOKYO

LUKE’S LOBSTER
東京都渋谷区神宮前6-7-1
03-5778-3747
lukeslobster.jp

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 ロブスターロールはサイズが2種類。「USサイズ」は5尾分のロブスターのツメ肉がはいって、1580円。「レギュラーサイズ」は3尾分で、980円。
 カニのクラブロール(1380円)、エビのシュリンプロール(950円)もある。
 セットメニューは、プラス400円で、ソフトドリンクとポテトチップスがつく。
 営業は毎日11am〜8pm。昼どきと夕方、週末は混むという。狙い目は、平日の2pm以降だとか。ただし、天気がよいと夕方には売り切れてしまうことも。

東京都渋谷区神宮前6-7-1

USA

LUKE’S LOBSTER
lukeslobster.com

 オリジナルの店舗は、ニューヨーク・マンハッタンのイーストビレッジだ。2009年秋にオープン。8席の丸椅子があるだけの、テークアウト専門店だった。今でもその雰囲気を守っている。
 ニューヨーク市内には、フードトラックも含めて、10店舗ある。ニュージャージー州ホーボーケン、ワシントンDC(3カ所)、フィラデルフィアにも。シカゴに今夏オープンした。
 アメリカでは、店によってじゃっかんメニューが異なるが、ロブスターロールが13〜16ドル程度。シュリンプロール8ドル、セットメニュー「Taste of Maine」23ドルなど。ニューイングランド・クラムチャウダーや、メーン州の地ビール、ソーダ類もある。

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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