ウディ・アレン、分身を得る?!(7月15日公開)

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

 

© 2016 Gravier Productions, Inc.

© 2016 Gravier Productions, Inc.

 自身のルーツ、ユダヤ系のネタを交えながら、万人受けするユーモアを繰り出して観客をうならせてきたウディ・アレン。御年80歳ながら、精力的に映画製作を続ける彼の新作「Café Society」は、1930年代のハリウッドとニューヨークを舞台にした青春ストーリーだ。裏方に徹したアレンに代わって、彼の分身とも言える役を見事こなしたのが、主人公ボビーに扮したジェシー・アイゼンバーグ。元々、早口気味にセリフをしゃべる彼だけに、アレン特有の独り言のような早口セリフを実に自然に表現し、アレンにとって分身を見つけて大満足だったのではないだろうか。筆者も太鼓判の分身ぶりだった。

 その反面、ヒロイン役のキャスティングにはやや違和感を覚えた。ボビーがハリウッドで出会い、ゾッコンとなったヴォニーにはクリステン・スチュワートを、ニューヨークで知り合うヴェロニカにはブレイク・ライブリーを起用しているのだが、スチュワートはヴォニー役には線が細すぎるし、ライブリーはヴェロニカ役には線が太すぎるのだ。人気の若手女優をミューズとして起用する傾向のあるアレンだが、配役をミスってしまったと言えよう。2人が逆転していたら……、有りだったかもしれないが、それでもライブリーはアイゼンバーグよりも身長も高く体格も大きいので、逆転しても厳しかったかも……。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  2. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  3. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  4. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  5.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  6. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
  7. 2025年2月8日

    旅先の美術館
    Norton Museum of Art / West Palm Beach フロリダはウエ...
  8. 約6億年も昔の生物たちの姿が鮮明に残るミステイクン・ポイントは、世界中の研究者から注目を集めている...
ページ上部へ戻る