マイケル・ベイ監督、新境地開く「13 Hours: The Secret Soldiers of Benghazi」(1月15日から劇場公開)

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

 

© 2015 PARAMOUNT PICTURES.

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 マイケル・ベイ監督の映画と聞いて、「どうせカメラワークの激しいアクションばかりで中身のない映画だろう」と思い、期待せずに試写に行った。しかし、本作はその予想を裏切る出来栄えだった。

 2012年9月11日、リビアのベンガジのアメリカ領事館が襲撃され、アメリカ大使をはじめ4人のアメリカ人が命を落とす。2012年アメリカ在外公館襲撃事件と言われる一連の事件のうち、リビアのベンガジで起きた出来事について書かれた書籍「13 Hours」を映画化した本作は、アクション場面はベイ監督の良さを存分に生かした歯切れの良い展開になっており、途中で挿入される人間ドラマの場面は感情豊かに表現され、久々に見応えのある作品だった。

 残念だったのは、登場する軍人キャラを演じた俳優のルックスが似ていること。死んだと思っていたら、それは別のキャラだったことが後に分かり、混乱してしまった。

 反米感情を持つ者、アメリカに味方する者、金次第でどちらにもつく者、寝返る者など、さまざまな人間がいることを見せられた本作。お金で安全を買おうとする姿勢など、アメリカの驕った考えが招いた悲劇をドキュメンタリー・タッチで描ききったベイの監督としての成長ぶりと作品選びの良さを実感した。

© 2015 PARAMOUNT PICTURES.

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はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

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