日本文化の素晴らしさ
日本人の心の在り方を伝えたい

Text by Keiko Fukuda / Photos by Maiko Ogawa

6月2日全米公開 映画「たたら侍」
エグゼクティブプロデューサーHIRO、青柳翔ら出演陣に聞く

HIRO
Photo©Maiko Ogawa

 全米公開に先駆け、5月8日にハリウッドのエジプシャンシアターで開催された映画「たたら侍」のプレミア上映会。モントリオール世界映画祭で最優秀芸術賞を受賞した同作はEXILE HIROがエグゼクティブプロデューサーを務め、主演にEXILE劇団の青柳翔をはじめ、AKIRA、小林直己らがキャストに名を連ねる。監督は「RAILWAYS」の錦織良成。プレミアを機にハリウッドを訪れた彼らに映画、夢、アメリカについて聞いた。

世界を意識した作品にした理由は?

錦織:最初から世界を意識したわけではありません。以前に青柳さんと隠岐の島で古典相撲の映画(「渾身」)を作って、モントリオール映画祭で評価を受けました。その出会いがきっかけになりました。たたら(*注:日本古来の製鉄法。映画ではその製法により名刀が作られる)には1000年の歴史があります。純度のある鉄。そこに日本のモノ作りの原点があるのです。エンターテインメントを通してそれを訴えることはできないか。欧米の方にも侍の文化は知られていますが、実は侍は日本刀をほとんど抜かないという事実がありました。刀はあくまでお守りであって抜かないものだったのです。その奥ゆかしい文化も伝えたいと思いました。HIROさんのプロデュースの力は大きかったですね。

また、主演の青柳さんは「渾身」のオーディションに入ってきた時から目力がすごく、存在感がありました。この人だと思いました。モントリオールでは黒澤(明)の匂いがする映画だと言われました。青柳はまるで三船だと。その時に日本の文化をもっと伝えたいと思い、さらに今回の作品ではAKIRAさんと小林直己さんを僕からお願いしたというわけです。

SHO AOYAGI
Photo©Maiko Ogawa

一番見てほしいところは?

青柳:鉄を作るシーン。本番までに2回体験して3回目に臨みました。

小林:雨の中、溺れそうになりながら演じるシーン。10トンの水を汲み上げて、命の危険を感じながらだったので、真に迫った演技ができたと思います。どう感じたか教えてほしいですね。

AKIRA:見所としては、日本のレジェンドとも言える大御所の俳優陣が大勢出演されていることです。その眼差しや背中だけでも素晴らしい。世界の方々にも是非見ていただきたいと思っています。

HIRO:AKIRAが言ったように役者さんたちがリアリティーを表現されています。それを感じていただきたいと思います。1つの作品の中に伝えたいことがたくさん込められています。音楽も、久石譲さんとATSUSHIが魂を込めて作ったものです。

錦織:今回はフィルムで撮影しています。実写の自然のすごさ。また、モノ作りの奥深さ。さらに人間が飛べない高さを飛ぶのはやめようと、身体能力についてもリアルに表現しました。そのあたりが見所。日本人の謙虚さについても触れました。

ハリウッドでの公開について

HIRO:この場所で完成披露試写会が行えることが光栄であり、本当にシンプルに嬉しく思います。ワクワクしています。また、LDH USAも本格的に始動し、ダンススクールも作らせていただくことになっています。そこを基地にして様々なプロジェクトに着手する計画です。初心に戻り、謙虚に頑張っていきたいと思っております。

海外のLDHでは、世界中の子供たちの懸け橋になれるようなプロジェクトを展開します。アメリカはじめ、ヨーロッパ、アジアでも挑戦していきたいです。新人発掘も行います。アメリカだったらどういう形で通用するんだろう、ヨーロッパなら、アジアならとそれぞれのやり方を模索しつつ、日本国内の活動がメインなので、地に足をつけて着実に取り組んでいきたいと思っています。

AKIRA
Photo©Maiko Ogawa

アメリカへの移住や活動計画は? アメリカの印象は?

HIRO:移住までは考えないですね。しかし、LDHが会社としてまずジャパンがあり、USAがあり、アジア、ヨーロッパと展開していく中で、グローバルなエンターテインメント産業に関わっていきたいです。バランスを考えながら取り組んでいかなければという思いですね。アメリカは大好き。ロサンゼルスとニューヨークにはしょっちゅう来ていますよ。独特の雰囲気があり移り変わりの激しさも実感します。

AKIRA:HIROさんもおっしゃったように、拠点を置いて、仲間を増やしながらコミュニケーションをしっかりとって、アメリカでは活動していきたいと思います。皆の夢を叶えられるように。EXPGというダンス学校にもメンバーとして関わっています。拠点を出すロスでも、ダンサーの夢を分かち合える場所にしたいですね。コラボレーションも積極的にしていきたい。一緒に踊りたいし、ライブやエンターテインメントにつなげていきたいです。さらに海外での俳優業にも挑戦していきたいと思います。

青柳:自分は海外に対してはまだまだ、という気持ちです。「たたら侍」が全米で見ていただける、それだけで光栄に思っています。「たたら侍」を少しでもたくさんの方に見ていただきたいです。ロサンゼルスは3回目。すごく気候が良くて好きです。住んでみる? 今の自分には現実的ではないですね。でも、住めたらいいなあ、と憧れます。

小林:僕はここに引っ越したいです。ハリウッドの映画にも出たい。LDH USAのメンバーにも入れていただきましたし、これから(海外で)動き出します。

NAOKI KOBAYASHI
Photo©Maiko Ogawa

今作でも描かれている日本人の心の在り方。日本人の良さとは?

錦織:相手の人を尊重する気持ち。人のことを考えて譲ること。言い換えると人の幸せを願う気持ち。

小林:柔軟性と根底にある強靭さ。例えば、照り焼き味のハンバーガーを柔軟な発想で生み出し、柔軟に受け入れますよね。郷に入れば郷に従え、それができるのが日本人。

青柳:都会ではなくなっていますが、地方では隣の家の人が勝手に入って魚を置いておいてくれる、というようなことがまだあります。そういう思いやり。素敵だなあと思いますね。

AKIRA:きめ細やかさ。繊細さ。それを次の世代に繋いでいくべきだと思います。

HIRO:丁寧さ。おもてなしの心。謙虚さは日本人として素晴らしいなと思う一方で、前に出ることも必要だと感じます。日本人はどうしても恥かしがってしまいますよね。

U.S. FrontLineの読者にメッセージを

青柳:日本の美しいたたら武器をこの映画を通じて知っていただき、日本文化の良さを実感していただきたい。ぜひ見てください。

在ロサンゼルス日本国総領事千葉明氏との記念撮影、右端が錦織監督
Photo©Maiko Ogawa

 

映画「たたら侍」公式ウェブサイト
http://www.elevenarts.net/tatarasamurai/

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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