「Talk」の用法に磨きをかける

これまでの私の経験からしても「Talk」という英語を使いこなせない人はいないかと思います。しかし、この「Talk」という単語は、単に「話す」の意味以外にも、他の単語と組み合わせた熟語にすることで、様々な意味として使えるので、今日のコラムでは中でもネイティブがよく使う代表的な5つのイディオムをご紹介いたします。


1) Talk around
→「遠回しに言う」

このフレーズは、言いたいことをはっきりと伝えず、話の要点を回りくどく話す場合に用いられます。“around”は物の周りを巡ることを意味することから、肝心なことを避けて遠回しに話すニュアンスとなります。

✔︎「遠回しな言い方をする」は「Beat around the bush」とも表現できる。

・He talked around the issue and never got to the point.(彼は遠回しに話し、結局話の要点には触れませんでした。)
・Instead of talking around this problem, let’s tackle it head on.(この問題をうやむやにするのはやめて、真正面から向き合いましょう。)
・Stop beating around the bush and give me a straight answer.(回りくどい言い方でなく、明確な返答をしてください。)

2) Talk back
→「口答えをする」

このフレーズは、子供が親に反発したり、部下が上司に口答えしたりするなど、自分より地位の高い人に反論することを意味し、特に目上の人に対して失礼な態度で言い返すニュアンスとして用いられます。

✔︎使い方:「Talk back to someone」→「(人に)口答えする」

・No matter what I say to him, he always talks back to me.(何を言おうが、彼は常に口答えします。)
・Sam, don’t talk back to your mother like that!(サム、お母さんに向かってそんな風に口答えしたらあかんやろっ!)
・The students in this class are very well behaved. No one talks back to the teacher.(このクラスの生徒はとても行儀が良いです。誰も先生に口答えをしません。)

3) Talk into / Talk out of
→「説得する」

誰かに何かをするよう説得する場合は“Talk into”、何かをしないよう説得する場合は“Talk out of”と表現します。例えば、中古車ではなく新車を購入したほうがいいと友達を説得した場合は「I talked him into buying a new car.」、新車を購入しないほうがいいと説得した場合は「I talked him out of buying a new car.」となります。“Talk out of”は、何かをしようと決意した相手に、その決意を思いとどまらせるニュアンスとして用いられます。

✔︎使い方:「Talk someone into/out of _____」→「〜するように/しないように(人を)説得する」

・I talked her into going skydiving with us.(私たちと一緒にスカイダイビングするよう彼女を説得しました。)
・I was thinking about quitting my job and becoming a freelancer but my boss talked me out of it. I’m going to wait a few more years.(会社を辞めて独立しようと考えていたのですが、上司に引き止められたので、もう数年待つことにしました。)
・How did you talk him into running a marathon? He hates running!(どうやってマラソン大会に出場するよう彼を口説いたん?彼、走るのめっちゃ嫌いやのに・・・)

4) Talk down
→「軽蔑した(見下した)態度で話す・上から物を言う」

このフレーズは、学歴や職業、社会的地位などが相手より自分のほうが偉いと思い込んでいる人が、相手を見下し小馬鹿にした態度で上から物を言うことを表します。

✔︎使い方:「Talk down to someone」→「(人に対して)軽蔑した態度で話す」

・I can’t stand my boss. He always talks down to me.(上司にイライラするわ〜。いっつも偉そうに話すのよね。)
・I don’t recommend that teacher. He talks down to his students.(あの先生はお勧めしません。生徒を見下した態度で話すので。)
・Why are you talking down to me like I’m a kid?(何で子供扱いするような話し方で話してんの?)

5) Talk over
→「〜しながら話す」

このフレーズは、何かをしながら会話をすることを表します。「Let’s talk it over a beer.(ビールを飲みながら話しましょう)」、「Let’s talk it over lunch.(ランチを食べながら話しましょう)」のように、食事やお酒、ゴルフなどを誘う際の決まり文句としてよく使われます。

✔︎使い方:「Talk over _____」→「〜しながら話す」
✔︎「Talk something over」は「〜について議論する・話し合う」も意味する。

・Let’s talk it over a bottle of wine. Are you free tonight?(ワインを飲みながら話しましょう。今夜空いてますか?)
・I’d love to hear more about your business idea. We’ll talk it over a game of golf someday.(そのビジネスについてもっと詳しく聞きたいので、そのうちゴルフでもしながらゆっくり話しましょう。)
・I’ll talk it over with my wife and get back to you.(妻と話し合ってから連絡しますね。)

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Jun Senesac

Jun Senesac

ライタープロフィール

ロサンゼルス出身の日米ハーフ。両親が運営するL.A.の英会話学校「BYB English Center」にて、高校生の頃から英語講師としてのキャリアをスタート。カリフォルニア州にあるUC Santa Barbara大学へ入学し、1年間一橋大学へ交換留学。卒業後、国際交流員として石川県内灘町役場で2年間の勤務を経て、2011年にアメリカへ帰国しBYB姉妹校をアーバインに開校。
2013年に英語学習サイト「Hapa英会話」を設立。2014年の2月よりHapa英会話のPodcastをスタートし、月間およそ40万ダウンロードされるまで成長。iTunes Japanが発表した『Best of 2014/2015』に2年連続選出。YouTubeにて登録者5万人を超える英会話チャンネル「Hapa英会話」を配信。
YouTubeやPodcast、ブログやメルマガなど様々な媒体を通じて、日米文化を取り入れた英語の学習環境を提供。
YouTube: https://www.youtube.com/hapaeikaiwa

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