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海外在住者でも加入できる「国民年金任意加入」をご存知ですか? 仕組みと注意点
文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)
- 2019年9月18日
長生きリスクにおける年金の重要性
日本は世界で一、二を争う長寿国です。厚生労働省の2017年調査発表によれば、平均寿命は男性で81歳、女性で87歳。これは平均値ですから、この年齢より前に亡くなる人もいれば、この年齢を過ぎての生存者数も多数いるわけです。
こうしたなか、日本では最近「人生100年時代」といわれ、「長生きリスク」がメディアで多く取り上げられています。長生きリスクとは、長生きすることでその分お金がかかってしまい、経済的に困窮してしまうことを意味しています。一部の人を除き、高齢となれば働くことが難しくなるので収入を得ることができません。したがって、ある程度の資産をお持ちの人でなければ長生きリスクを避けることができないのです。
そこで頼りになるのが、公的年金です。年金は生涯(死ぬまで)支給されますので、長生きリスクへの対応には不可欠です。年金というと、最近は財源不足により徐々に減額されて十分な額ではないなどと批判も出ていますが、それでも国によって保証され、確実に受給できる年金は老後の生活の生命線と言っても過言ではありません。
海外在住者も国民年金に加入できる
このように公的年金制度は、長生きリスクへの備えとしては大変重要な役割を担っています。そこで今回は、日本国外で暮らす海外在住者が日本の年金に加入する場合に知っておくべき点を紹介します。
公的年金は多くの国で制度化されています。米国の場合はSocial Securityであり、就労者はほぼ全員所得の中からSocial Security Taxを納め、老後に年金(Social Security benefit)を受給できる仕組みになっています。※1
米国在住の日本人は、Social Securityに加入していても並行して日本の国民年金に加入することができます。毎月の国民年金保険料を納付することで、その分の年金を老後に日本で受給できるのです。
これは国民年金の「任意加入制度」というもの。国民年金は20歳から60歳までのすべての日本国内居住者に加入が義務付けられていますが(サラリーマン、公務員は就労先企業・団体経由で厚生年金(国民年金を含む)に自動的に加入)、海外居住者の場合は国外居住であることから加入は義務付けられていない一方で、20歳から65歳までの間、任意で加入することができます。ただし国籍が日本のままである必要があり、外国籍を取得すると任意加入することはできません。また、米国居住期間と任意加入期間の合計が10年以上である必要があります。
任意加入手続きと注意点
「任意の申し立てをしていない」「日本に住民票を残している」場合、無効になる可能性も
海外在住者の国民年金への加入手続きは、海外へ移住する際にその旨を年金事務所へ届け出て、通常の国民年金加入者(「第1号被保険者」)から「任意加入被保険者」への変更手続きが必要です。特に海外移住する前に日本で国民年金保険料を支払っていた人のなかには、そのまま継続して保険料を払えば問題ないだろうと判断して年金事務所へ海外移住することを届け出ない人がいます。この場合、海外移住後に支払った保険料が無効となる可能性があります。そうなると移住後に支払った保険料はそのまま還付されますが、老後の年金の原資にはなりません。
また、「だったら海外移住後も日本に住民票を残しておけば、日本在住扱いのままなので問題ないのでは」と考える人も出てくるかもしれませんが、この場合も後で海外在住であることが判明すると遡って外国居住扱いになり、同様にその分の保険料が無効となる可能性があります。
該当するケースの人は一度ご確認を
私どものお客様のなかにもこうしたケースに該当し、これまで何年も日本で国民年金保険料を払い続けていたのに無効になってしまった人が何名かいらっしゃいます。本来はこうした制度上のルールを年金事務所が年金加入者に分かるようきちんと案内すべきものなのですが、実際ほとんどの人がこのことを知りません。もし該当する人がいらっしゃれば、一度ご確認してみてください。そして万が一任意加入被保険者になっていなければ、今からでも遅くはないので届け出することをおすすめします。
米国4都市で開催。参加申込、詳細情報をご希望の方は下記Webページをご覧ください。
10月26・29日:CA州ロサンゼルス
10月27・28日:CA州サンフランシスコ
10月31日:NC州ローリー
11月2・3日:NY州ニューヨーク
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