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移民法

グリーンカード(永住権)

グリーンカードは、雇用ベースと親族ベースに分かれます。申請は専門の申請書を移民局に送り、審査してもらいます。今のところCOVID-19の影響による移民局での審査に大きな変化はありません。永住権申請者が米国に非移民ビザで滞在している場合は、申請の途中で指紋採取が義務付けられています。一時、COVID-19の影響で指紋採取センターが閉鎖されていました。これにより、指紋採取が通常よりだいぶ遅れています。最近はセンターが再開され、今後は移民局から申請者の住所へ徐々に指紋採取の通知が送られるようになる見込みです。

L(駐在員)ビザ

専門の申請書を移民局に送り審査してもらいます。移民局の審査は新規申請、更新申請いずれも永住権申請と同じように大きな変化はありません。移民局申請が終了したら、許可書が送られてきます。後日、この許可書をもとに日本の米国大使館でビザ(査証)を取得するための申請を行う必要があります。この米国大使館でのビザ申請は2020年の年末まで申請できないという大統領令が出されており、一部の例外を除き、ビザ申請ができない状態になっています。

E(投資・貿易)ビザ

Lビザと違い、移民局の申請を経ずに米国大使館に直接ビザ申請をすることができます。面接予約を取り、面接日に必要資料を持参して審査してもらいます。現時点では、今までと同じように面接を設定することが可能です。しかし、COVID-19の影響で米国大使館や米国領事館の面接を受けられる日が極端に少なくなっています。以前よりも簡単に、希望の時期の面接を取ることができないケースが多くなっているようです。

H-1B(専門職)ビザ

専門の申請書を移民局に送り、審査してもらいます。移民局の審査は、永住権申請やLビザ申請と同じように大きな変化はありません。移民局申請が終了したら許可書が送られてくるので、後日この許可書をもとに日本の米国大使館でビザ(査証)を取得するための申請を行う必要があります。Lビザのところでも説明しましたが、H-1Bについても米国大使館でのビザ申請は2020年の年末まで受け付けないという大統領令が出されており、一部の例外を除き申請ができない状態です。

J-1(研修)ビザ

米国大使館でのビザ申請は2020年の年末まで受け付けないという大統領令が出されており、一部の例外を除き、ビザ申請ができない状態になっています。

COVID-19による影響

徐々に実務が再開されています。限定的ですが、日本にある米国大使館でもビザの申請が始まっていますし、出頭が必要なければ郵送によるビザの許可も行われています。また、永住権の申請もアメリカ国内で再開しており、当事務所でも指紋の採取に関する通知が徐々に届くようになってきています。もちろん、今後COVID-19の深刻化が認められると移民局の作業が再度停滞する可能性はありますが、徐々に再開していることは確認できているので、正常化に向かっていると考えられます。ただ、すでに停滞している申請も多くあるため、正常化するまではかなり時間がかかるでしょう。

大統領選にともなう今後の予想

11月7日、バイデン氏が当選確実となりました。

これまでのトランプ政権において移民政策は目玉政策の一つであり、再選されればさらにH-1Bビザの締め付けを行うことをすでに明言していました。ここで法律と規則について正しく理解しておきたいところですが、法律というのは議会を経なければ成立しません。その法律に基づいて細則を決めるのが規則であり、これは行政府である大統領の役割です。トランプ政権によるビザ発給に関する締め付けは、あくまで議会が定めた移民法の範囲内で行われているという建前になっていました。しかし、場合によってはその範囲の逸脱を争われることもありました。バイデン氏が政権を握った後(2021年1月末)、すぐには大統領令を利用しないかもしれませんが、ビザの発給については徐々に緩んでくる可能性があります。HビザとLビザの新規発給停止措置は2020年末までなので、仮にトランプ政権が継続的に措置を実行しても、合法的なビザ発給の停止については解除されると考えられます。

もともと、トランプ政権にしてもオバマ政権にしても、不法移民、いわゆる不法滞在者に関して厳しく対応してきました。不法な入国および不法滞在(ビザで入国し有効期限が切れた場合)については、バイデン次期政権も人道的な範囲で厳しく対応していくでしょう。難民申請については現政権が行っている対応で批判されるものが多く(たとえば難民親子の引き離し問題)、バイデン政権はこれらについて優先的に対応するはずです。メキシコとの国境問題が移民関係では最重要課題になるでしょうから、合法的なビザに関する措置はその次になると考えられます。実際にビザの発給に関して具体的な大統領令が出るとしたら、2021年の夏頃になるのではないでしょうか。

重要なのは、2020年11月現在、まだジョージア州で結果が出ておらず、2021年1月5日に決選投票がなされる上院議員の選挙で民主党がどれだけ踏ん張れるかです。上院は各州から2 名ずつ選出され、最近でも最高裁判事の任命権を行使するなど、力は絶大です。今回、上院で民主党が共和党と同数以上でなければ(同数であれば副大統領が議決に加わる)、ねじれ議会が発生します。そうすると、バイデン政権はオバマ政権のように立法を気にしなければ動けない状況になり、ひいてはトランプ大統領が行った移民政策を変更するのに時間がかかり、2021年は合法的なビザ発給について現状とあまり変化が生じないかもしれません。また、対中国の強行政策は超党派の課題なので、外国人のアメリカ入国に関するプライオリティは現状低いかもしれません。ビザの再発給は2021年後半になってから、トランプ政権以前の状況に徐々に戻ることが予想されます。

取材協力
Marshall Suzuki Law Group, LLP
415-618-0090
www.marshallsuzuki.com/
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