海外教育Navi 第106回
〜現地校や補習校での友達づくり〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育アドバイザー等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.子どもは引っ込み思案で、現地校でも補習校でも友達をつくれず悩んでいます。どうしたらよいのでしょうか。

前回のコラムでは、現地で友達をつくる方法についてお話ししました(前回記事へ)。今回は、親としてできるサポートについてお話しします。

親のサポート

補習校でも適応するには親のサポートが大切ですが、現地校の場合は特に親の周囲との関係が非常に影響します。一般的には、親が現地にあまり適応していなくても、子どもは学校になじんだり友達をつくったりできることが多いですが、子ども本人がなじめていない場合には、親の努力が欠かせません。

まずはお母さん自身が現地校理解のために、クラスマザーなどのボランティアに勇気を持って積極的に参加しましょう。学校・クラスでの保護者のボランティアに参加して、子どもの学校での様子を観察するとともに、現地校のシステムやルールなどをお母さん自身が理解しましょう。

「言語ができない」はボランティアに参加しない理由にはなりません。ことばがわからないなかで生活している子どもにとって、お母さんが奮闘している姿を見ることは子どもに大きな勇気を与え、自分もがんばろうという気持ちを起こさせます。

そしてボランティアに参加することにより、現地の学校について子どもと家庭でも話をすることができます。体験で見聞き・感じたことを共有していれば、子どもの学校生活への理解が飛躍的に進みます。

子どもは現地校を理解するために多くの情報を必要としているのです。クラスの子どもの様子もつかめるでしょうから、お子さんが友達になれそうな子がいたら、「あの子はどんな子なの?」と様子を聞くこともできます。

このように、現地校生活にソフトランティングするには子どもといっしょに学び、共に行動する保護者の姿勢が不可欠でしょう。「家族がいっしょになってくれたので、サバイブできた」ということばを多くの帰国した子どもたちが口にします。

さらにボランティア活動を通して学校に積極的にかかわることは、現地の保護者の知り合いを増やすことにつながります。現地校の先生はもちろんですが、保護者も「教育に熱心な日本人」と評価をしてくれることでしょう。

こうして広がったネットワークを利用して、家族同士の交流にもつなげることができます。「今度、我が家にご家族でいらっしゃいませんか」などと誘っても、気心が知れていれば喜んで承諾してくれるでしょう。それがさらに発展して現地の家庭に招待された際、そこにクラスの子どもが同じように招待されているかもしれません。家庭間で交流することが友達をつくるきっかけになります。

友達がいなくても悩まない

仲よしの友達ができないのはよくないという考えをなくしましょう。特定の仲のよい友達がいなくても現地校に適応でき、自分の考えでクラスメイトみんなと充実した学校生活を送ることができれば、それも現地校での一つの過ごし方ではないでしょうか。

ただ注意する点として、ひとりで過ごす時間が多いと、ネガティブな思考に陥ってストレスを多く抱えがちになることも考えられます。その場合には、ご夫婦でよく話し合い、子どもが苦境に立たされたとき、その困難を家族で分かち合うことが重要です。「いつも家族はあなたの味方だよ」と子どもに伝えるとともに家庭をお子さんにとって温かな居場所にしてあげてください。

結びに

現地で築いた友情は将来にわたって子どもの宝物になります。国と国とのかけ橋にもなっていくことから、できれば帰国後も連絡を取れるような現地の友達をつくりたいものです。子どもがそう望むのであれば、「Back to School Night」(夜に行われる保護者会)の機会にでも、担任の先生に友達づくりの手助けをお願いしてみてください。日ごろから学校に協力的なお母さんの話を担任の先生はしっかりと聞いてくれて子どもが孤独にならないよう配慮してくれることでしょう。

このようにさまざまな手助けをしながら、子どもがどのような選択をするかを見守ってください。異文化のなか、苦労をしながらも学校生活を過ごすことを通して、引っ込み思案のプラス面と必要なときに発揮できる積極性を備えた帰国子女としてたくましく成長できるはずです。

今回の相談員
海外子女教育振興財団 教育アドバイザー  
清水賢司

日本へ返還直後の小笠原村母島小・中学校にて教員生活を開始。東京都公立中学校長、ラスパルマス日本人学校およびテヘラン日本人学校の校長などを歴任し現職。全国海外子女教育国際理解教育研究協議会幹事、今年6月より本田技研工業株式会社の専任教育相談アドバイザーを務める。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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