アメリカ生活お役立ちBook
- 2022年10月3日
- 2022年10月号掲載
日本で暮らす老親介護
介護の選択肢
身体介護は自宅に住みながら行う方法(在宅介護)と、施設に入居する方法(施設介護)の2つがあります。在宅介護の場合、家族が面倒を見ながら時おり介護業者の訪問サービスやデイサービスを利用します。デイサービスとは、施設に通い日帰りで介護を受けることができるサービスで、要介護1(*1)以上の認定を受けた人が対象となります。在宅介護は家族への負担が大きいですが、介護事業者のサービスが限定的な利用となるため費用を抑えることができます。
認知症の場合、治療面では医療機関を、生活面では介護業者の介護サービスを利用します。
介護施設
特別養護老人ホーム(特養)公的介護保険制度による運営。入居費が比較的安く、入居希望者が多いため施設によっては待機となります。要介護3(*1)以上が対象で、入居費用は月額6~15万円程度。
グループホーム認知症を専門とした介護施設。5~9人が1つのユニットとなり、介助を受けながら共同生活を行います。65歳以上で要支援2または要介護1以上の認定、医師・専門医から認知症と診断された人が対象です。食事など一部のサービスは公的介護保険制度を利用可能、入居費用は月額15~20万円程度。
有料老人ホーム国から認定を受けた業者が運営する住まい。健康な人向け、介護を必要とする人向け、認知症に対応した施設などさまざまなタイプがあります。入居費用は、入居一時金(0~数百万円)と月額15~40万円程度。
保険制度
公的医療保険制度国民健康保険(75歳まで)と後期高齢者医療制度(75歳以上)があり、検査や治療のために医療機関を利用した際の費用を補助する制度です。日本に住民登録している人は国籍に関わらず全員加入し、年齢にかかわらず保険料の支払い義務があります。自己負担率は1~3割。
公的介護保険制度認知症に限らず心身の傷病により日常生活において介助が必要な場合、介護業者の介護サービス費用を補助する制度です。日本に住民登録している40歳以上の人が加入でき、介助が必要かどうか事前に確認手続き(介護認定)が行われます。自己負担率は1~3割。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、意思判断能力が低下した本人に代わり後見人が法律行為、財産管理を行う制度です。身上監護は対象外です。
法定後見制度認知症になった場合に、親族(4親等以内)や市区町村長等の申立てにより裁判所が後見人(親族以外を含む)を選定する方法。支援内容は法律で決められており、後見人によるお金の不必要な使用は認められません。判断能力の度合いにより、後見人のほか保佐人、補助人が就任する場合もあります。
任意後見制度本人が健康なうちに将来に備えて後見人および支援内容を決める方法で、親族や信頼できる知人を選任できます。本人が判断能力を有している間は任意後見契約を締結し、本人の判断能力が低下してから後見監督人(任意後見人を指導する人)が裁判所により選任される(後見制度の効力が発生)か、法定後見制度を改めて申立てます。
亡くなった後の手続き
手続き | 手続き窓口 | 期限 |
---|---|---|
①葬儀(火葬・埋葬)・関係者連絡など | 直後~7日 | |
②死亡届の提出 | 市町村役場 | 7日以内 |
③年金の死亡届の提出 | 年金事務所など | 14日以内 |
④健康・介護保険資格喪失届の提出 | 市町村役場 | 14日以内 |
⑤住民票の世帯主変更届の提出 | 市町村役場 | 14日以内 |
⑥公共料金などの名義変更・解約 | 電話・水道・電気・ガス会社 | なるべく早期 |
⑦相続人・財産・遺言書の有無の調査 | 必要なら専門家へ依頼 | 3カ月以内 |
⑧相続放棄(および限定承認) | 家庭裁判所 | 3カ月以内 |
⑨死亡者の準確定申告 | 税務署 | 4カ月以内 |
⑩相続税申告・納税 | 税務署 | 10カ月以内 |
⑪遺産分割(財産の名義変更など) | 法務局など | なるべく早期 |
※医療機関や高齢者施設の料金精算、ペットの引き取り、遺品の整理など、上記のほかにも手続きが発生する場合もあります。
※期限は原則的なもので、過ぎても問題はありません(ただし税金など債務に関わるものは金利や延滞金が発生)。
※⑨、⑩は資産総額によっては手続きが不要です。
※各手続きは相続人自身のほか、代理人、専門(家)業者でも可能です。専門業者は手続きによって資格者が異なります(弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士など)。
*1 介護認定には要支援1~2、要介護1~5の7段階の基準があります(数字が多いほど要介護の必要度が高い)。
取材協力
Lifemates
蓑田 透
http://www.life-mates.jp
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