トーランス クラフトビール最前線 ③
The Dude’s Brewing Company
文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)
- 2015年10月20日
- 2015年10月20日号掲載
「トヨタ、ホンダ、日産の米国拠点。日系駐在員の大きなコミュニティーがあり、日本食レストランのメッカ」。ロサンゼルス近郊の街トーランス(Torrance)は、在米日本人の間ではそんなイメージで知られてきた。しかし最近のトーランスは、「クラフトビールの流行発信地」という、ずいぶん違った顔をもつ。南カリフォルニアはもとより全米・海外からもビール好きが訪れる、トーランスのマイクロ・ブリューワリーを、数回にわたって紹介する。
あまり知られていないが、トーランスはれっきとした「ビーチタウン」だ。海岸線を北にちょっとあがると、レドンドビーチ、ハーモサビーチ、マンハッタンビーチという有名どころ、個性的なコミュニティーがあるために、地元でもちょっと影は薄いのだけれど…。
2014年9月にトーランスにオープンしたマイクロ・ブリューワリーの「デュード」(Dude’s)は、トーランスが発揮しきれていない「ビーチタウンらしさ」の魅力、引力を前面に出している。
缶やロゴのデザインは、レイドバックしたサーファーのライフスタイルを思わせる。
名前が「デュード」(野郎ども、の意)というからには、オトコくさいブリューワリーかと想像していたが、実際の醸造施設は清潔で、洗練されたテクノロジーを駆使。そのギャップが、おもしろい。
案内してくれたスコット・ショーさんとトビー・ヒュムスさんいわく、「自分自身についてはそんなにまじめに考えないけれど、ビールづくりには超まじめに取り組んでいるよ」。
15のタンクと60のバレルが整然と並び、すべてのプロセスが入念な管理のもと、自動で流れていく。無駄を省き、汚染を防ぎ、味に一定感をもたせるためだ。
ブリューワリーによっては、ビールをつくるタンクごとに味が違う、それがクラフトビールの魅力、と言い切るところもあるが、デュードの場合、味にも質にもバラつきがないよう心がけているそうだ。
定番は、最初につくったビールで今もベストセラーの「ダブル・トランク」(Double Trunk)。新しい味を求めて、つねに数種類の「実験」も行われている。ピーカンナッツやチョコレートなどを使うこともある。
変わりダネでは、「ブラッド・オレンジ・アンバー・エール」(Blood Orange Amber Ale)がある。アメリカのスーパーで売っているオレンジ・クリームのキャンディーのような味なのだが、甘過ぎず、意外にハマりそうなビールに仕上がっている。
クラフトビールの世界でも、ソーシャル・ネットワーク(SNS)の力は偉大だ。デュードはオープン以降、「グルーポン」でお得な試飲チケットを売ったが、ものすごい反響があったという。21〜31歳の客が多い。ソーシャル・ネットワークで口コミの輪を広げ、近隣のブリューワリーと提携したイベントも盛んに行われている。
The Dude’s Brewing Company
1840 W 208th Street, Torrance, CA
424-271-2915
www.thedudesbrew.com
テイスティングルームの営業時間は、木金3〜10pm、土日12〜10pm。
ニューポートビーチと、サウザンドオークスにも、今年の秋、テイスティングルームをオープンする予定。
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