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日本では昨年5月に公開済みの本作は、1980年代に連載されていた漫画「百日紅(さるすべり)」が原作のアニメ映画。原作者の杉浦日向子は時代考証家でもあるので、作品で描かれる江戸庶民の生活がとても生き生きしている。
主人公は、江戸時代を代表する絵師、葛飾北斎の娘、お栄(えい)。父親の代筆をしつつ、本人も絵師として活躍しているが、23歳という年齢から恋愛やキャリアについて悩む。
父子の絆や確執、師匠と弟子の関係という人間ドラマだけでなく、盲目で病弱の妹とのシーンで涙を誘い、超常現象のネタで観客をビビらせる。着目はいいものの、2時間という制限のある映画では盛りだくさん過ぎて、まとまりがなく、すべてが中途半端な描き方になっているのが残念だった。また、お栄の声を担当した杏の声優としての力量に疑問を抱かずにはいられなかった。男勝りで勝ち気なキャラなのは分かるが、棒読み過ぎて冒頭、台詞が耳に入ってこなかっただけでなく、感情移入にも苦しんだ。
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