Vol.42 石炭紀の神秘に触れる
ジョギンズの化石崖群
− カナダ ノバスコシア州 −
- 2024年10月2日
- 2024年10月号掲載
カナダのノバスコシア州に位置する「ジョギンズの化石崖群」には、約3 億5,000 万年前の石炭紀の化石が豊富に残っている。かつてこの地には、2 メートルを超す巨大ヤスデや1 メートルのトンボが生きる巨大シダの森が広がっていた。今は「石灰紀のガラパゴス」と呼ばれ、20 キロメートル以上にわたる崖沿いには化石が露出して目視で確認できる状態で残っている。石炭紀の植物や、そこで生息していた初期の両生類、地球上でもっとも古い陸生脊椎動物の化石などが多数発見されており、その数は96 属148 種、発見された足跡は20 種。最古の爬虫類の一つと考えられているヒロノマスの化石も発見され、地球の歴史と生命進化の段階を示す重要な場所として世界中の地質学者や化石愛好家から高く評価されている。特に古生物学の分野で極めて重要な研究対象とされており、2008 年にユネスコの世界自然遺産に登録された。
ジョギンズの化石崖群は、世界一の潮の干満差があるファンディ湾に面している。 最大16メートルにもおよぶ干満差は、川の逆流現象を起こすほど。その干満差が断崖を削り、地層が崩れて新しい化石が露出していくのだ。
ジョギンズの化石崖群が評価される理由の一つは、その保存状態の良さと科学的価値。石炭紀の環境をほぼそのままの状態で後世に伝えるこの場所は、地球の歴史や生命の進化を理解する上で欠かせない資料となっている。また、地層の露出状態が非常に良好で、まるで地質学の教科書のように各地層の形成過程を直接目にすることができる。この地は科学的研究の場であると同時に、観光地としても多くの人々を惹きつけている。
化石探しから観光まで
まずはジョギンズ化石博物館へ。博物館では石炭紀の歴史や化石のサンプルに関する展示があり、事前に学ぶことで現地での体験がより充実したものになるはず。ひと通り学んだら、博物館が実施するガイド付きツアーに参加しよう。地元ガイドが化石の特徴を詳しく説明しながら崖沿いを案内してくれる。なお、訪れる際には満潮と干潮の時間を事前に確認しておくことをおすすめする。干潮時にはより多くの化石が露出するため見つけやすくなるうえ、波にさらされた新しい化石が発見できる可能性も高いため、潮のタイミングをうまく利用しよう。
化石探しを楽しんだ後は、近くの展望スポットで大西洋の美しい景色を堪能するといいだろう。ファンディ湾の世界最大の干満差を利用して発電される潮汐発電や、仕掛け漁が盛んで産地として知られるロブスターを味わえるレストランなど、周辺には観光スポットが点在している。太古の化石とともに、ファンディ湾の魅力をたっぷりと堪能しよう。
遺産プロフィール
ジョギンズの化石崖群
Joggins Fossil Cliffs
登録年 2008年
遺産種別 世界自然遺産
https://www.jogginsfossilcliffs.net
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