「Everest」同様、極限状態に陥った人間が主人公だが、本作では人間の強さを、ユーモアを交えながら感動的に描く。
火星探査から帰還する際の事故により死亡したと断定され、火星に置き去りにされたマーク。しかし、彼は九死に一生を得ていた。死んだものと思われている以上、自分から生存を伝えない限り救援はないと確信したマークは、長期間生きながらえる術と地球との交信を画策するのだった。
外に出るには宇宙服を着用しなければならず、地表には植物はおろか飲料水もない環境で、助かる可能性が限りなく低いというプレッシャーと孤独に負けることなく、常に前向きでユーモアを忘れないマークの生き方に尊敬の念を抱かずにはいられない。そんなキャラを生き生きと魅力的に体現するのはマット・デイモン。昨年の映画「Interstellar」でも、惑星にただ一人残った宇宙飛行士に扮しており、ややダブってしまうところはあるものの、本作での演技はこれまでの彼のキャリアの中でも珠玉の出来と言えよう。巨匠リドリー・スコット監督の並外れた演出力を再確認した。
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