老後の日本帰国のための情報 「高齢者施設について」

文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)

lifemates_kaigo長年住み慣れた米国ですが、老後は故郷である日本で暮らしたいとお考えの方もいらっしゃるかと思います。日本へ帰国する際にはいろいろな手続きや作業、準備が必要となりますが、住居については一般住宅(持家、賃貸)にするか、それとも老後の健康のことも考え、老人ホームなど高齢者施設に入所する選択もあります。

日本には何種類もの高齢者施設があって一度は聞いたり読んだりしたことはあるかと思いますが、それぞれの特長や違いが理解できない、どうやって探せばよいのかわからない、という人も少なくないと思います。そこで今回は高齢者施設について紹介したいと思います。

高齢者施設については大きく2つのタイプに分かれます。

A)介護が必要とされる状態の人のための公的介護施設
介護保険制度によって運営される公的介護施設なので誰でも利用できるわけではなく、入居に際しては自治体による介護認定を受ける必要があります。入居費は公的施設なので比較的安いですが、入居希望者が多く、申込んでもすぐには入居できない状態です。B)介護が必要という状態ではないが高齢者(健常者含む)のための身の回りのサポートも併せて提供してくれる民間の施設
認可を受けた民間企業が運営する施設で全体的に入居費は高いですが、比較的容易に入居できます。

次の表はそれぞれのグループ毎の施設の種類について説明しています。

タイプ 種 類 説 明
A 特別養護老人ホーム(特養) 社会福祉法人や地方自治体などにより運営される公的な介護施設で、重度の介護を必要とする要介護者が、比較的少ない費用負担で入所できます。人気が高く入居待ちとなることがあります。
介護老人保健施設 病院を退院した人が帰宅する前にリハビリを行う一時的な入居施設です。
グループホーム 認知症専用の介護施設で、家庭的な雰囲気の中、少人数グループによる共同生活を通して症状の改善を図るもの
B 介護付有料老人ホーム 要介護者、自立(介護認定なし)・要支援状態の高齢者を受け入れている施設で、介護や食事などのサービスを提供します。主に民間事業者によって運営され、施設のスタッフによる幅広いサービスが受けられます。
住宅型有料老人ホーム 自立(介護認定なし)・要支援状態の高齢者を受け入れている施設で、介護や食事などのサービスを提供します。介護は外部のサービスを利用します。
サービス付き高齢者住宅 主に自立(介護認定なし)あるいは軽度の要介護状態の高齢者を受け入れる賃貸住宅です。生活相談員が常駐し、入居者の安否確認や様々な生活支援サービスを受けることができます。

施設の探し方

A)公的介護施設は介護認定が必要なので、帰国後に自治体への相談が必要となります。
B)民間の施設については大体の場所と予算を決めた上でじっくりと余裕をもって検討することが必要です。

施設の数は多く、立地や施設の築年数、介護サービスの内容によって入居費用は様々です。また施設の快適性や介護サービスはカタログ上だけで十分把握できるとは言えず、できれば現地見学はしたいところです。入居一時金などを含めると数十万円~数千万円の費用がかかりますので、入居後に「こんなはずではなかった」となることだけは避けたいものです。

 

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、成年後見など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
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