シリーズアメリカ再発見⑫ 南北戦争150周年
ゲティスバーグ~モンティチェロ 霊場街道をゆく

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 

Photo © Mirei Sato

ゲティスバーグの古戦場
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The Journey Through Hallowed Ground

各地の見どころ
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 「The Journey Through Hallowed Ground」は、ペンシルベニア、メリーランド、バージニア、ウェストバージニアにかかる地域。南北戦争と建国期の重要な史跡が集まるため「National Heritage Area」に指定された。
 ゲティスバーグとモンティチェロを結ぶ全長180マイルのルート15は「National Scenic Byway」。周辺に13カ所の国立公園がある。ワインの名産地で、ルート15沿いだけでワイナリーが75カ所。
 ただ車で走り抜けるだけなら3~4時間の距離だが、それぞれの街に個性と歴史的風情を残したダウンタウンがあるので、休憩・宿泊しながらゆっくり旅したい。街道沿いにレストラン、アンティークショップ、B&Bが並ぶ。秋は紅葉が美しく、リンゴ狩りも人気がある。
 アクセス方法は幾つかある。首都DCから入るなら、ワシントン・ダレス国際空港でレンタカーをするのが便利。フィラデルフィア、ボルティモア、リッチモンドからも遠くない。

■詳細: www.HallowedGround.org


ゲティスバーグ Gettysburg

Gettysburg National Military Park
 古戦場が保存されている。2008年に完成したビジターセンターがあり、サイクロラマを含む展示も充実。地図を見ながら自分のペースで徒歩とドライブで回ってもいいし、レンタルバイク、セグウェイ、レンジャーによるツアーもある。正式なライセンスのあるガイドを雇うと(60ドル)、車を代わりに運転してくれて、希望に合わせて史跡をめぐりながら説明してくれる。乗馬で戦場を回るツアーもある。騎馬隊になった気分が味わえて、大人気。

Photo © Mirei Sato

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■詳細:www.NPS.gov/gett
www.GettysburgFoundation.org


「Gettysburg 150 – Reflections of History」
 ゲティスバーグの戦いから150年目にあたる今年の夏は、市内各地でさまざまなイベントが予定されている。6月28日から7月7日まで。独立記念日をはさんで街全体がにぎやかになる。7月4日から7日は、戦闘シーンの再現が盛大に行われる。
 リンカーンの演説を記念した再現イベントは、11月19日から24日まで。リンカーンのそっくりさんが大集合。23日は「Remembrance Day」で、国立墓地にキャンドルが灯る。150周年の今年は、サプライズで大物ゲストのスピーチも予定されている。
 ダウンタウンには、リンカーンの銅像、ギフトショップや南北戦争関連の記念館、歴史的建造物がある。
■詳細:www.gettysburg.travel
www.GettysburgReenactment.com
www.GettysburgCivilWar150.com


Shriver House Museum
 ジョージ&ヘッティ・シュライバー夫妻の家を保存し改装した博物館。南北戦争時代の庶民の暮らしと苦難を知ることができる。屋根裏には南軍の射撃手が隠れた。壁に銃弾による穴があり、血の跡もうっすらと見える。7月6日には南軍立てこもりの再現イベントがある。このシュライバー家は、ケネディ家の一員で俳優シュワルツェネッガーと結婚したマリア・シュライバーと縁戚関係にあるという。

Photo © Mirei Sato

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■詳細:www.ShriverHouse.org


Dobbin House Tavern
 1776年からある古い建物を利用したレストラン。アペタイザーからステーキやシーフードまで、建国初期のこの地方の食文化を再現。ゲティスバーグ150周年スペシャルのルートビアも。建物は、逃亡奴隷を手助けした地下組織「Underground Railroad」で重要な役割を果たした。その展示も見られる。
■詳細:www.DobbinHouse.com


フレデリック Frederick

National Museum of Civil War Medicine
 南北戦争における医療がテーマ。戦場での外科手術の実態や、兵士の野営生活、伝染病についても詳しい。「Divided by Conflict, United by Compassion」がスローガン。南軍の看護士に世話になった北軍兵士が贈った感謝のギフトも展示されている。
■詳細:www.CivilWarMed.org


Downtown Frederick
 メリーランドで2番目に大きな街。50ブロックに及ぶオールド・ダウンタウンと運河に沿って、レストランやブティックが並ぶ。人気TV番組「Top Chef」に出演し一躍有名になったブライアン&マイケル・ボルタッジオ兄弟は、フレデリックの出身。兄のブライアンが経営する「Volt」は目抜き通りにあり、地場の農産物を使って洗練された料理を出す。地元の人でにぎわう「Acacia」は、気持ちのいいパティオと、チェサピーク湾の新鮮なシーフードやカリフォルニア料理が人気。
■詳細:www.VisitFrederick.org


ミドルバーグ Middleburg

Aldie Mill Historic Park
 1809年完成、現在も稼働する製粉所と水車小屋。1863年6月17日、ゲティスバーグ前哨戦となるアルディーの戦いで多数の死者が出た。再現イベントも行う。

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■詳細:www.NVRPA.org
www.civilwarinloudounvalley.com


The Red Fox Inn and Tavern
 1728年から続く歴史的なホテル。狩猟とワインの文化を大切に守っている。キツネの看板やジョッキーの人形が目印。1階のレストランでピーナッツ・スープが食べられる。乗馬服姿で朝食にくる人も。ホテルはダウンタウンの中心で、風土感たっぷりのギフトショップやギャラリー、ペットショップ、アイスクリーム屋、アンティークショップを歩いてまわれる。

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■詳細:www.redfox.com


マナサス Manassas

「Guided Afternoon Historic Site Tours」
 マナサスは1861年7月と1862年8月の2度、南北戦争の中でも最初の大きな戦いがあった場所。毎年再現イベントがある。7月4日から9月1日まで、月曜を除く毎日、マナサスに残る史跡を見学するガイドツアーが行われている。マナサス・ミュージアムの主催。8月23日から25日まで「Civil War Weekend」。
 6月に博物館としてオープンするのが「Liberia Plantation」。プリンス・ウィリアム郡最大の奴隷農園で、屋敷は南軍と北軍の本部に使われた。リンカーンも立ち寄った場所。8月24日に当時の暮らしを再現するイベントがある。
 マナサスのダウンタウンは鉄道の駅のそば。DCに通勤する住人が多い。地ビールやワイン、石釜焼きピザの店などがありにぎわっている。
■詳細:www.VisitManassas.org
www.DiscoverPWM.com
www.ManassasMuseum.org
www.NPS.gov/mana


Ben Lomond Historic Site
1771年から1861年にかけての奴隷プランテーション跡地。5~10月限定でツアーがある。屋敷は南軍の野戦病院になった。負傷兵が残した壁の落書きも見られる。
■詳細:www.PWCgov.org/historicsites


カルペッパー Culpeper

Downtown Culpeper
 南軍にとっても北軍にとっても要所で、160以上の小さな戦闘があった。鉄道の駅を中心に、歴史的建造物を保存改装した愛らしいダウンタウン。
■詳細:www.VisitCulpeperVA.com


超おすすめ!
Belmont Farm Distillery
 ゲティスバーグからモンティチェロへの道中で発見した、最もユニークな場所。バージニアの新鮮なコーンを使ったウィスキーづくりの名人、チャック・ミラー氏が経営する蒸留所だ。
 アパラチアン山脈周辺では「ムーンシャイン」と呼ばれる密造酒づくりが盛んだった。禁酒法時代、人目を避けて真夜中に山奥で月明かりの下つくったことから名がついた。ミラー氏の祖父は広く知れ渡った密造名人。その秘伝のレシピをもとに25年前、「合法的に」ウィスキーをつくり始めた。アメリカ最古という単式蒸留釜を今も使い、すべて手づくりだ。
 ヒストリー・チャンネルやナショナル・ジオグラフィックなどマニアックな番組にたびたび登場し、独特のキャラクターで愛されるミラー氏。「これぞアメリカの伝統。なんてったってうまいからね。Better than SAKEって書いてくださいよ~!」
 4~11月の火~土曜オープン。テイスティングルームはないが、ツアー(無料)で蒸留過程を見せてくれる。バレルから漂う芳醇な香りだけで十分酔える。おすすめは、ライムとジンジャーエール割り。バーボンもつくり始めたところで、3年後に最初の樽が開くというから楽しみだ。

密造時代のもの? 銃弾の跡が残る古い車 Photo © Mirei Sato

密造時代のもの? 銃弾の跡が残る古い車
Photo © Mirei Sato


名物マスターの、ミラー氏 Photo © Mirei Sato

名物マスターの、ミラー氏
Photo © Mirei Sato


■詳細:www.moonshine.com
www.VirginiaWhiskey.com
540-825-3207(ツアー予約)


オレンジ Orange

James Madison’s Montpelier
 第4代大統領ジェームズ・マディソンの広大な邸宅。「建国の父」の中でも知能派として知られる。妻のドリーは社交に熱心で、就任式の舞踏会など「ファーストレディー」の伝統や習慣を築いた。2000年に修復保存が始まり、毎日30分おきに、南北戦争や合衆国憲法、毒殺事件も起きた奴隷たちの生活など、テーマ別のツアーがある。

Photo © Mirei Sato

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■詳細:www.Montpelier.org


ゴードンズビル Gordonsville


The Exchange Hotel Civil War Museum

 「幽霊が出る場所」として有名なゴードンズビルの鉄道駅前にある、6月にオープンしたばかりの博物館。もとは駅舎とホテルで、南北戦争中は野戦病院になった。敷地内に500人以上の南北両軍の兵士の遺体が埋められ、30人以上の奴隷が処刑されたという木も残っている。「幽霊と会話した」「走り去る奴隷を見た」などの体験談が絶えず、真夜中の「肝だめし」ツアーもある。かつて街の黒人女性たちが、ここを通過する鉄道の乗客にフライドチキンを売りに集まったことから、今も名物料理。

Photo © Mirei Sato

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■詳細:www.HGIExchange.org
www.VisitOrangeVirginia.com


The Barbeque Exchange
 上記の博物館から線路を隔ててすぐ。行列ができるバーベキューの店。テーブルの上に5種類のソースがあり、ベーコン・フレーバーでスモーキーなバージニア風、スパイシーなカンザスシティー風などを交互に試せる。

Photo © Mirei Sato

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■詳細:www.BBQEX.com


シャーロッツビル Charlottesville

Thomas Jefferson’s Monticello
 第3代大統領トーマス・ジェファーソンの邸宅。ユネスコの世界遺産に指定され、今年はその25周年を祝う。丘の頂上に、屋敷、菜園、ブドウ畑、散歩道などがある。奴隷労働や農作業、鋳物など、当時の日常生活の様子が分かる。毎日約2000人が訪れる。

エントランス・ホール。来客はここでジェファーソンを待った © Thomas Jefferson Foundation at Monticello, photograph by Robert Lautman

エントランス・ホール。来客はここでジェファーソンを待った
© Thomas Jefferson Foundation at Monticello, photograph by Robert Lautman


■詳細:www.Monticello.org


Jefferson Vineyards
 モンティチェロの丘の下にある大統領にあやかったワイナリー。毎日ツアーとテイスティング(10ドル)がある。8~9月の土曜は隔週でコンサートも。軽くてピーチやアプリコットなどのフレーバーが豊かな「ビオニエ」が、バージニアらしくておすすめ。
 バージニアはワインの名産地。ドイツ系移民が多かったためワインづくりの歴史は長い。生産量は全米トップ5に入る。旅行者にはワイナリーめぐりも人気がある。

Photo © Mirei Sato

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■詳細:www.JeffersonVineyards.com
www.VirginiaWine.org
www.VisitCharlottesville.org

Special thanks to The Journey Through Hallowed Ground and Gettysburg Convention & Visitors Bureau

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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